時は2004年6月1日、中国で開催されるアジアカップを間近に控えたジーコジャパンが、英国に乗り込みイングランド代表と対戦した試合だ。

日本代表は前半、エースのマイケル・オーウェンに先制ゴールを許した。しかし53分、中盤でテンポよくパスを繋ぎ、中央の中村俊輔からイングランドの主将デイヴィッド・ベッカムの裏を突いた三都主アレサンドロへ絶妙なスルーパスが供給されると、ダイレクトでの折り返しに飛び込んだのは小野伸二!

当時ボランチへ本格的にコンバートされた小野だが、2、3列目からの飛び出しは得意とする形だった。この場面でもDFが久保竜彦に引き付けられ空けてしまったスペースに巧く入り、三都主からの折り返しを右足の内側で正確に流し込んだのである。

当時のイングランド代表は何とも華やかだ。懐古主義か?いやいや、この試合に先発したのも守護神ジェームズ以下、DFにギャリー・ネヴィル、テリー、キャンベル、アシュリー・コール、中盤にベッカム、スコールズ、ランパード、ジェラード、FWには若き日のルーニーとオーウェン…錚々たるメンバーである。

そんな相手に日本は小野のこのゴールで1-1と引き分けた。たかが親善試合かもしれない。しかし強豪相手にアウェイで、完璧に崩した流れからの鮮やかなゴールは「日本代表史上最も美しいゴール」の1つとして語り継がれていくことだろう。

今回、J2で奪ったゴールは何本もパスを繋いだものでもなければ右足のシュートでもなかったが、10年以上の歳月を経て、再びあの歓喜を蘇らせてくれるそんなワンシーンであった。