もう一つ、今度は「日産車体株式会社」を紹介します。

同社は日産自動車の委託で自動車の設計から生産までを行うメーカーで、かつてはスポーツカーの「フェアレディZ」、現在では小型商用車やミニバンなどを生産しています。

ただ、同社の源流は平塚市で1937年創立の航空機生産企業で、戦後に日産自動車と連携して社名変更したものの、現在でも単独での東証一部上場を維持しています。そのため、日産グループとして横浜F・マリノス、平塚市の企業として湘南ベルマーレを支援しています。

2004年11月21日には同社の特別協賛で両チームOBによる「湘南ひらつかフレンドリーマッチ」を開催した事もありました。この時にF・マリノス社長だった左伴繁雄氏(現清水エスパルス社長)は、2006年に社長を辞任して日産自動車に戻った後、日産車体との縁もあって2008年11月に日産自動車を退社しベルマーレの経営陣に加わっています。

≪日産車体が作る「NV200バネット」を元にしたタクシー。高齢化社会にも優しいワゴンタイプが展示中(日産車体公式サイトより)≫

同社の悩みは「名前の埋没」です。F・マリノスのトレーニングシャツのメインスポンサーとなっていますが、胸に大きく「日産車体」と入れると、オーナー企業の日産自動車「NISSAN」と混同されてしまい、アピールにならないのです。

それで、日産車体は社名を数社が並ぶ他のスポンサーの下、ちょうど脇腹の辺りに入れると共に、自分達が生産している日産の車種名を胸の一番目立つ部分に表示させました。以前は「ELGRAND」、現在は「NV350CARAVAN」ですが、日産自動車ではなく日産車体の広告だと気付いてくれる方は少ないのが現状というお話でした。

・日産車体株式会社 公式サイト
http://www.nissan-shatai.co.jp/index.html

・同2015年10月5日付発表:第44回東京モーターショー2015 出展概要について
http://www.nissan-shatai.co.jp/NEWS/PDF/tms2015_outline.pdf(PDF)

・湘南ひらつかフレンドリーマッチ presented by 日産車体 開催のお知らせ
(湘南ベルマーレ公式リリース、2004年11月2日付、J's GOALでのアーカイブ)

http://www.jleague.jp/jsgoal_archive/official/detail.php?press_code=00013070

≪日産車体公式サイトに掲示されている「NV350キャラバン」の広告(日産車体公式サイトより)≫

両社は「隠れたブランドを掘り起こす」意図を持っていますが、親会社や取引先の意向でスポンサーになった場合は、そこまで積極的な戦略を持っていない例もありました。やはり、観客やサポーターから明確に反応がないのは企業のモチベーションを上げないようです。

その点では、今回の東京モーターショーには参加していませんが、自動車用の小型モーターも生産し、2011年から柏レイソルアカデミーをユニフォームスポンサーとして支援する「マブチモーター株式会社」(本社:千葉県松戸市)にレイソルサポーターが感謝の意を示したのは、とても分かりやすい手応えになったでしょう。

・マブチモーター株式会社がアカデミー・ユニフォームスポンサーに
http://blog.reysol.co.jp/news/2011/011553.html

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