アジア枠編」「元Jリーガー編」と続いた、Jリーグにやって来るかもしれない外国人シリーズ第3弾。今回は過去にJで一度もプレーしたことのない外国人を取り上げてみたい。

近年のJにおける“新参者外国人”は、アジアの他のリーグで結果を残した選手がトレンド。古くは2000年に韓国の水原三星から移籍してきたFWサーシャ・ドラクリッチ(元・柏)、2001年に香港リーグ得点王の実績を引っさげてやってきたFWレアンドロ・シミオニ(元・横浜F・マリノス)らがいるが、彼らは全くと言っていいほど活躍出来なかった。

しかし近年はアジアの各国リーグが外国人補強に力を入れており、それに伴い外国人の質が上昇。2012シーズンにJリーグベストイレブンに輝いた仙台のFWウイルソン(前・陝西宝栄)、清水エスパルスのFWピーター・ウタカ(前・北京国安)、今シーズン、ジュビロ磐田でJ2得点王に輝いたFWジェイ・ボスロイド(前・ムアントン・ユナイテッド)といったレベルの高い助っ人がチームの中心として活躍するシーンが多くなった。

先程述べた3選手に共通するのが、「アジアで結果を残せなかった」という点。アジアでの低迷は自身の市場価格を大幅に下げてしまうため、Jクラブは彼らの実力以下の額で獲得できるという訳だ。

そこで今回は彼らのような“アジアで市場価値を下落させた実力派外国人”を中心に、クラブ事情で退団の可能性が高い選手や過去にJリーグ入りの噂がありながらも実現していない選手などを取り上げてみた。総勢10名。ぜひご覧いただきたい。

ムリキ

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:29歳
所属: アル・サッド (QAT)

かつて広州恒大でアジアを震撼させたブラジル人アタッカー。驚異的なスピードを誇ったドリブル突破は当時、誰にも止められなかった。

現在は元スペイン代表MFチャビ(35)らと共にカタール・スターズリーグのアル・サッドでプレー。そのパフォーマンスは衰えておらず、ここまでリーグ得点ランキング2位の8ゴールを奪う活躍を見せている。

ただ、アル・サッドは今月、「新たなサイクルをスタートさせたい」との理由から3年間チームを率いたモロッコ人指揮官フセイン・アモータ氏(46)を突如解任。後任はかつてポルトなどを率いたポルトガル人の老将ジェズアウド・フェレイラ氏(69)の就任が確実とのことだ。

また外国人に関しても、チュニジアの名門エトワール・サヘルにローン移籍中のアルジェリア代表FWバグダード・ブーンジャー(23)を来年1月中に呼び戻すとの話が浮上。そうなった場合、現在アル・サッドに在籍している外国人選手3名(ムリキ、チャビ、アルジェリア代表DFナディル・ベルハジ)のうち1名は放出されることになる。

ムリキは現在29歳。広州恒大から加入した昨シーズンは移籍早々に半年間負傷離脱しており、今後のケガのリスクは大いに気になるところ。アル・サッドが「新たなサイクル」に足を踏み入れるには彼を放出し、今年のアフリカ年間最優秀選手賞にノミネートされているブーンジャーを迎え入れる可能性は少なくない。

仮に退団となると、アジア全域からオファーが殺到することが予想される。Jクラブが中東や中国クラブ相手にカネで対抗できるとは思えないが、“本気でアジアを取りにいく”ために必要なタレントであることは間違いないだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

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