ピカチュウの本名はグライビソン・イアゴ・ソウザ・リスボア、“ピカチュウ"という愛称は9歳の時に入ったフットサルチームのコーチが付けたものだ。
それは彼がチームで最も小さく、最も素早かったこと、ピカチュウの絵を描いていた?ことに由来するのだという。この時のチームは全ての子供に愛称を授けていたようで、ピカチュウの3歳年上には“ガチョウ"と呼ばれた選手もいた。その選手とは後にサントスでネイマールとともに一大センセーションを巻き起こすブラジル代表MFガンソ(現サンパウロ)である。
それからピカチュウは2005年にパイサンドゥの下部組織へ移り、2012年、全国選手権3部でデビュー。この年いきなり6ゴールを決めると、サンパウロ州の名門パウメイラスが早くも接触を図った。
しかしJリーグでもプレーした元ブラジル代表セーザル・サンパイオがマネージャーを務めていたパウメイラスとピカチュウの移籍交渉は決裂する。同じポジション(右サイドバック)の選手の加入が決まったことに加え、当時の会長は、
「その名前の選手を雇うことは困難だね」
と、なんと“ピカチュウ”という名前が理由だと述べたのである。
この発言が単なる冗談だったのかどうかは不明だが、日本の人気キャラクターから付けられた“子供っぽい”名前が、カレカ(=ハゲ頭)など何でもアリに思われたブラジルでさえ、肯定的に受け止められていなかったのは確かなことであった。