ジョジー・アルティドール

16歳の時にニューヨーク・レッドブルズでプロデビューし、18歳の時にビジャレアルに移籍。移籍金は400万ドル(およそ4.3億円)であり、当時のMLS所属選手としては史上最高のものだった。

しかし、ビジャレアルでは出場機会を得られず。ヘレス、ハル・シティ、ブルサスポルへのローンを経験し、2011年にAZに移籍した。オランダで才能が開花し、加入初年度は16ゴール、2シーズン目は33ゴールとブレイクを果たす。この活躍を見たサンダーランドが獲得を打診。4年契約を結び、サンダーランドに加入した。移籍金は非公開であるが、650万ポンド(およそ10.2億円)であったという。

しかし、サンダーランドではオランダ時代に見せた得点力は鳴りを潜め、初年度はリーグ戦で31試合に出場してわずかに1ゴール。翌シーズンも前半戦に11試合に出場して0ゴール。元イングランド代表FWのジャーメイン・デフォーとのトレードにより、トロントFCに移籍している。

アルティドールといえば、やはりフレディ・アドゥー並にアメリカの期待を一新に背負った選手であるということが挙げられる。16歳でのプロデビューは鮮烈であり、強靭なフィジカルと高い運動能力は将来性を大きく感じさせた。期待値が高かっただけに42試合で1ゴールという結果が「燃費が悪い」と判断された理由と考えて良いだろう。

とはいえ、まだ26歳。昨シーズンのMLSでは25試合に出場して13ゴール。母国で得点感覚を磨き、自らの価値を証明するチャンスはまだまだ充分にある。本人もそう思っているはずだ。

アリ・ディア

これまでの4人と比べると少し昔の選手である。アリ・ディアはセネガルのダカール出身の選手で、自らの身元を偽ってプレミアリーグでプレーした選手として知られている。

下位リーグでプレーした後、トライアルをいくつか経験。ノン・リーグでプレーした後、事件は起きた。1996年、サウサンプトンがディアを獲得。その理由が当時世界最高のFWと呼ばれ、PSGで大活躍の後にミランへと移籍したジョージ・ウェアの従兄弟がサウサンプトンでのプレーを望んでいるという電話が指揮官のグレアム・スーネスにかかってきたからだ。

電話の主は自らがウェアであると偽り、ディアが代表選手の経験があると嘘をついたという。スーネスは騙されてしまい、1ヶ月の契約を結んだという。イングランドではこうした短期の契約が存在するが、短期の契約であった時点でスーネスも怪しんでいたのだろう。

ディアはサウサンプトンで1試合だけ出場している。しかも交代相手はサウサンプトンのレジェンドであるマット・ル・ティシエ。32分から出場したが53分で交代になったという。その後、サウサンプトンはディアを放出。契約からわずかに2週間の出来事であった。

この事件によってディアは英国のサッカーファンの間で嘲笑の存在となっている。同様の趣旨の企画では常にランクインしており、エイプリルフールでも話題になるなど完全に“ネタキャラ”だ。とはいえ、誰もが夢見るプレミアリーグでのプレー。サウサンプトンにとっては素人同然の選手にお金を支払った形だが、ディアにとってはかけがえの無い思い出となったことだろう。

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