何でピーマン描かなきゃいけないんだよ!

--もう1つの顔であるアートについての出会いを教えてください。

アートを始めたのは、13歳の時に足首を折ったことからでした。夏休みはサッカースクールに行くつもりだったのに、サッカーができなくなったので最悪の夏休みでしたね。

その時、父が「それは残念だな。動けないなら、絵でも描いたらどうだ?そこにあるピーマンを描いてみろ」とブラシをくれました。俺は「父ちゃん、何でピーマン描かなきゃいけないんだよ!超つまんねぇよ」と言いましたね(笑)。

--サッカーやりたいのに、ピーマン描いていたと。

でも、なんか上手くできたんですよね。それが始まりでした。

--サッカーとはどう両立していったのでしょうか?

それから、学校でもアートやデザインのレッスンやったりしました。俺の母はデザイナーで父は俳優だったので、アーティスティックな才能があったんだろうなと。

僕は結構インテリア好きで、デンマーク時代はアパートの白い壁に自分のアートをペイントしたりしていましたね。デンマークは税金が高くて外食はあまりしないんですよね。だからデンマークの場合は、友達を家に招待してご飯を食べたり、遊んだりする感じなんですね。だから、部屋の白い壁にデザインするのが普通なんですよ。

--壁にデザインをする、デンマークでは芸術が身近にあるんですね。

僕の部屋の壁に描かれた絵を見た友達は、「俺の家の壁にも描いて欲しい」と頼まれることがよくありました。新潟にいた時も「家に帰ったら何やっているんですか?」と質問されれば、必ず「絵を描いています」と答えています。日本では「そうですか」で終わりだったんですけど、デンマークでは「おぉ!見せてください」と反応が違いました。それで、サッカー選手が絵を描いていることを聞きつけて、カフェとかからオファーがいくつかきました。

それから、僕の絵が流れていったんですね。他のサッカー選手も僕の絵を見て、「俺にも描いてくれ」と言われるようになりましたね。ギャラリーとかもチャリティーイベントとかからもオファーがくるようになりました。

--中島ファラン選手にとって、アートとはどんな意味があるんでしょうか?

僕はインテリアが大好きで、家に自分のインテリアがあると心が安らぐんですね。サッカー選手はONとOFFの切り分けが大切だと思うんです。そういうオフというかリフレッシュが俺にとっては絵を描くことなんですね。自分のインスピレーションとかクリエイティビティとか表現できる感じなんですね。スッキリした気持ちで次の日にはサッカーに打ち込めるようになったんです。

--1枚あたりの製作期間はどのぐらいなのでしょうか?

1枚あたりの製作期間は1ケ月ほどですね。

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