僕のアートも感動を与えられる
--アートにおける思い出はありましたか?
ある日チームメイトのキャプテンのお父さんが亡くなってしまいました。そのお父さんがミック・ジャガーが大好きだったんですよ。キャプテンは僕にお父さんが大好きだったミック・ジャガーの絵を描いてくれないか?と頼まれました。
僕は「他の人にはそういう感じで描かないけど、下手かもしれないから貰うか貰わないかは自分で選んでくれ」と伝えました。でも、奥さんとキャプテンが僕の絵を見たら泣きだしました。僕はそれを見て困惑してしまって「下手だった?」と聞いたら、凄く嬉しくてたまらないと言われたんですね。俺は人にこういったモノを与えられるんだなと気づきました。
--アートは、サッカーとはまた違った世界です。
その時の感覚がビッグクエスチョンだったんですね。今までスタジアムでゴールを決めたら凄く爽快な気持ちになったんですけど、それとは違った感覚だったんです。サッカー選手としてサポーターにそういったファンタスティックを与えられるって感じでね。それで「俺のアートも感動を与えられる?マジで?」って驚きがありました。
別の日にチームメイトの子供が1歳の誕生日をむかえる時に、奥さんには内緒でサプライズなアート(娘の顔)を描いてほしいと頼まれました。俺は1mくらいのでかいキャンバスに、チームメイトの子供の顔を描いたわけです。そして誕生日にサプライズアートを発表したんですよ。チームメイトの親族が30人いる中で披露したから、俺も結構緊張していました。その絵を見たギャラリーが号泣しちゃって、赤ちゃんも動揺してましたね(笑)。これだけ俺のアートで感動してくれるのは嬉しくてたまらなかったですね。アートのパワーって凄いなと俺は強く思いましたね。
--何か名前を出せる選手とのエピソードはありますか?
マルコ・ディ・ヴァイオの引退試合セレモニーでマルコの絵をコラボレートしたり、ジュリアン・デ・グズマン(カナダ代表)の記念セレモニーに絵を贈呈したりしましたね。俺の中では初めてのコラボレートだったので、これらの経験はとても大きいものでした。ギャラリーじゃなくてスタジアムで披露したから凄くいい経験をしました。