「ブラガらしい」エデルの引き抜き

しかし2年目、その状況は大きく変わる!

……と言いたいところなのだが、実はそうではない。エデルは結局アカデミカでそれほど大きな実績を残しているわけではないのだ。

確かに出番は増加したのだが、2年目はジョアン・リベイロやヴオとの争いに勝ったとはいえず、3年目はミゲウ・フィダルゴの方がエースだ。

4年目は序盤戦でレギュラーを獲得しキャプテンマークも巻いたが、後半戦はポルトへの移籍の噂が立ったことによってほとんど起用されずに終わっている。

しかし、大きな転機が訪れたのは2012年夏。「ポルトガルでちょっといい選手が現れたらことごとく安いうちに取っていく」と評判のブラガと契約したのだ。

その分多くの選手を干すことで知られるチームであるが、彼はそこで大きなブレイクを果たす。

アカデミカの4年で12ゴールしか決めなかったエデルが、2月までの18試合でなんと13ゴールを決めたのだ。その後靭帯の損傷で戦列を離れるも、ベンフィカに去ったリマの後継者としての期待に応えたのである。

その後はデビューシーズンほどのインパクトを残せないながらもブラガの前線で存在感を見せ、ポルトガル代表チームにも定着。2014年ワールドカップにも出場することに成功したのだった。

昨季は500万ポンド(およそ6.6億円)でイングランド・プレミアリーグのスウォンジー・シティへ移籍しているが、15試合に起用されつつ得点を奪えず、失敗に終わった。

だが後半戦でフランス・リーグアンのリールへとレンタル移籍。鬱憤を晴らすかのように輝きを見せ、ナント戦では素晴らしい個人技で2ゴール。ヤシヌ・ベンジアとジュニオール・タロの得点力不足に苦しんでいたクラブの救世主となった。

もしそれがなければEURO2016のメンバーにも選ばれなかったかもしれないし、当然決勝でのゴールも生まれなかったはずだ。

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