今季から川崎の10番を背負い、1stステージの優勝争いにも十分貢献してきた大島。ただ、五輪でのプレーはどちらかというと驚きをもって受け止められた。実際、AFC U-23選手権の頃とは存在感が大きく違ったのは間違いない。
五輪代表が半年前よりもボールを繋ぐことを意識したチームだったこともあるが、大島自身にも変化があった。それは本当にここ数カ月のことである。
1stステージで鹿島アントラーズの逆転を許し2位に終わったためか、それともA代表に招集されたためか、きっかけは定かではない。ただ、メンタル面での成長があったことは間違いない。具体的にいえば、プレーに「覚悟」が備わってきた。
大島は技術的に高く評価されていた一方、ゲームへかかわる姿勢が消極的で、淡々としたプレーが悪い意味で目立つことが少なくなかった。しかし、最近の彼は、状況に合わせて味方にプレーをさせることが上手くなってきた。これは、自分のところでその分“負担”を背負っているからに他ならない。
以前、モドリッチとクロースの比較でも書いたように、本当に上手い選手は味方が楽にプレーできるよう自らの技術で“負担”を背負う。そのためには「覚悟」や「意志」が必要だ。
分かりやすい例として、大島の師匠ともいえる中村憲剛が昨年の名古屋グランパス戦で見せたプレーを紹介したい。
川崎らしいパス回しから生まれた見事なゴールだったため記憶している人も多いのではないかと思われる。
このゴールでキーになったのは中村のプレーだ。