プレミアリーグのスタジアムで、立ち見エリアを復活させようという動きがあるようだ。英国各紙が伝えている。

かつてのイングランドでは当たり前のように見られた立ち見席だが、現在ではプレミアリーグと2部のチャンピオンシップでスタジアムの全席が座席となっている。

転機となったのは、1989年に発生した「ヒルズ・ボロの悲劇」。

この群集事故によってスタジアムの安全性が全体的に見直され、「テラス席」と呼ばれる立ち見エリアは廃止となった。

しかし近年では立ち見席を復活させようという動きがあり、なかには政権公約として掲げる政党も。そうした背景をふまえ、17日にはプレミアリーグのクラブ間で会合が行われたという。

立ち見席の復活をめぐっては、クラブによって見解が異なる。

今回の話し合いに関して、ウェストハムの共同チェアマンであるデイヴィッド・ゴールドは「安全な立ち見席を復活させるための最初のステップ」と肯定的に振り返った一方で、エヴァートンは否定的に捉えているそう。

また、ヒルズ・ボロの悲劇に関する支援団体の秘書を務めるスー・ロバーツ氏は「我々は歴史上で起こったことを忘れる傾向にある」と話し、立ち見席の復活を「後退的」だとしている。

今回検討されている安全な立ち見席の導入は、座席の座る部分を折りたたむことで直立スペースを確保するというもの。ドイツなどでは一般的なのだが、これをイングランドで採用するには法改正が必要である。

議論が本格的にスタートしたとは言え、立ち見席を復活させるには多くの困難と長い時間がかかりそうだ。

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