しかし、2015年に彼には大きな問題が降りかかることになった。上記のように、政府からテロリストを支援した疑いで資産を没収されてしまったのだ。

その容疑は、彼が支持していたと言われるムスリム同胞団の活動に関与したというもの。アブトリカが友人と共同設立した旅行会社『As-hab Tours』を通して資金を援助していたということだった。

ムスリム同胞団は「アラブの春」を受けた革命によって一時エジプトの政権を奪取した。しかしムハンマド・ムルシ大統領はその後軍のクーデターによってその座を追われることになり、後に政府からテロ組織として指定されることになっている。

だが、それに対してアブトリカは無実を表明し、裁判に訴えることを選択。弁護士を立てて政府との対決姿勢を明らかにしたのだった。

資産については、行政裁判所において無罪になっていたにもかかわらずアブトレイカの元には戻ってくることなく、さらに今回カイロ刑事裁判所がそれを覆した。

弁護士を務めているムハンマド・ウスマン氏によれば、エジプトはアブトリカをテロリストを支援している疑いがある人物として指定するとともに、3年間の国外渡航禁止、資産凍結を言い渡したという。

なお、アブトリカは有罪判決も受けていないことから、弁護士はテロリスト指定自体が違法であると訴えている。なお、被告側には60日以内に控訴する権利があるため、現状もまだ罪状が確定したわけではない。

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