アンドレ・マリナー主審がアッ、どれ?
このようなカード取り違い事件は日本に限らない。
プレミアリーグではアンドレ・マリナー主審がアーセナルのキーラン・ギブスを間違えて退場させてしまったことがあった。
その際はペナルティエリア内でシュートを手で触ったという形だった。ファウルを犯したオックスレイド=チェンバレンではなく、ギブスが何故かレッドカードを受けることになった。
ただ、今回の件とは少し違いがある。
当時のサッカーのルールにおいては、ペナルティエリアで決定機阻止をした場合、レッドカードを出さなければならないと明記されていた。
アンドレ・マリナーはこの時点でレッドカードを取り出さなければならず、試合を壊す可能性があっても判断を下す必要があった。
しかし、今回の状況はわずかに異なる。
決定機阻止であったとしても、これはペナルティエリアの外で行われたファウルだ。怪我をさせるような悪質なタックルでもない。
100%レッドカードを出さなければならない状況ではないのだ。ここでただのファウルにしても、あるいはイエローで収めても、どちらも極めて大きな影響を与えるものにはならない。
結果的に今回はそのファウルが原因でゴールが決まっているとはいえ、もしイエローカードすら出さなくても試合自体が壊れることはなかっただろう。
間違った選手を退場させるリスクを冒してまで、決定機阻止のルールを守ろうと努力することはない。冤罪になるリスクを冒してまで誰かを逮捕するようなものだ。「あれは決定機阻止ではない」と判断を変えればいいだけだ。それができる時間は十分にあったはずである。
なぜこんなに大きな問題になったのか?
それは「わからない」のに「わかったふりをした」からだ。