伊賀のプレッシングに苦しみ、バニーズらしさを出せない完敗
舞台はプレナスなでしこリーグ2部。入替戦を経て昇格を果たしたバニーズ京都SCは、敵地での開幕戦でちふれASエルフェン埼玉を0-1で破る金星を挙げた。それも、昨季1部を戦った相手をシュート1本に抑える戦いぶりだった。
この日迎えたのも、昨季1部で戦った伊賀フットボールクラブくノ一。期待が高まる中、3日前の埼玉戦の勝利からか?序盤から浮足立ち、地力で勝る伊賀の猛烈なプレッシングに苦しむ。GKまで連動したハイプレスをかけてくる相手の前に、自慢のパスワークは影を潜めた。
最初は伊賀の両サイドからの突破とクロスに苦しんだバニーズ。そして最も危険になったのが20分頃からだった。サイド攻撃に対応するために守備網を大きく開くと、今季から伊賀のインサイドMFを務める元日本代表MF杉田亜未に中央からドリブルを仕掛けられる。なでしこ1部のDFでも止められない個人技を持つ杉田が時間を作ることで、前線の選手のマークを剥がして揺さぶり、<4-3-3>の両ウイングの選手がゴール前中央や逆サイドにまで進出して決定的なパスを受け始めた。
バニーズは伊賀の“幅”と“深さ”のある攻撃に前後左右に揺さぶられた。しかも、日本代表候補の新加入FW谷口木乃実(下記写真:背番号9)が、23分という早い時間帯で負傷交代となったのも痛かった。彼女は、相手の裏を狙った縦パス1本でボールを収められる選手。苦しい展開の中で陣地を回復させる狙いで初先発となったはずだった。
そして28分。右サイドに流れてきた杉田に混戦の中から突破を許すと、速いクロスが送られた。それがゴール前に入ってきた左ウイングのFW竹島加奈子に渡ると、彼女得意の左足シュートが放たれた。バニーズは伊賀に先制点を許す。
38分には自陣内で選手間の意思疎通を欠いたバニーズがパスミス。そこからまたも竹島に豪快な左足シュートを蹴り込まれ、追加点を献上した。
この追加点のような場面は90分通して頻発し、バニーズのGK山田紅葉は1対1の状況を何度も迎えた。
後半、中盤でパスが繋がらないバニーズは最終ラインからビルドアップして反撃。それでも、どうしてもシュートに繋がらず。62分には「攻撃のために」(千本監督)、FW西川樹に替えて、新加入のDF野間文美加を投入。快速CB石井咲希を右SBへスライドさせ、この日、チームが掲げるポゼッションサッカーに「最もチャレンジし続けていた」(千本監督)DF山本裕美がアンカーに入る事で、チーム1の技巧派MF松田望と近い距離でプレー。本来の“バニーズらしいサッカー”が出始めた。
しかし78分、伊賀の右SB松久保明梨のクロスを、途中出場でFWに入っていた町田朱里にヘディングで押し込まれてダメ押しの3点目。完全に勝敗がついた試合は0-3。バニーズの完敗で試合終了の時を迎えた。