ディレクターを青ざめさせた「蕨市(わらびし)」事件

ーーそうしたROMが2つあることは「よくあること」なのでしょうか?

あってはならないことなのですが、あります。サカつくはその後子会社へ移って作成をしていたのですが、特大号2(2001年)の時に発売日にファンから怒りのメールがきたことがあります。こんな内容でした。

「俺は発売日に仕事を休んでサカつくを楽しみにして買った。もちろんホームタウンは俺の地元の蕨市に作るつもりで。だが、このサカつくには蕨市がない。俺の地元がゲームに搭載されていないというこのつらさがお前らに分かるか?」

当時市町村統合が活発だったせいで、その処理をしている途中に誤って蕨市だけ消えてしまったんですね。ディレクターが青い顔になって奔走してましたけど。蕨市を追加したBバージョンを作りました。ユーザーさんにも送付したはずです。僕は特大号2は関わっていなかったですけども、「蕨市」というとなんかこの事件を思い出します。蕨市っていうところがまたね…。微妙にチェックでも気づかなそうだなという…。あ、市としては日本で一番面積が狭いという意味でですよ。蕨市をディスってるわけではないです!

※蕨市は埼玉県南東部にある。人口は約7万3千人(2016年2月現在)

ーー古き良き時代の話ですね。今ではネットでパッチを当ててアップデートできますから(笑)。

実はですね…PSPのタイトルでパッチをはじめて当てたのは僕なんです。褒められた話ではありませんが…。

サカつく6(2009年)が発売になって、ユーザーからの評判もなかなかよく安堵していたんですけども、30年目以降に海外のクラブがどんどん弱くなっていくという問題が発覚しまして。選手補強の思考ルーチンに問題があって、自国の選手を優先して取るようになってしまっていた。だから、イングランドとかスペインのクラブチームとかがどんどん弱くなっていってしまう。

言い訳ではないのですが、シミュレーションゲーム(SLG)というのはバグチェックに限りがあります。何万人という選手がいてクラブチームなどの数も膨大、何時間でも遊べてしまうわけで自由度がとても高いんです。我々も極力努力して、ゲーム内で20年(40時間ぐらいはかかる)をめどにチェックをいろんなパターンでチェックしていたんですが30年以上のチェックが…。

ゲーム進行が止まるようなバグであればすぐアラートが入りますが、これはバランスに関わる部分なので特にわかりづらいタイプでしたね…。

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