スイス戦では挑戦したが…
打って変わって、スイス戦で大きく変わった(工夫しようと試みていた)のが、守備方式を整備しようとしたことである。
「前線からの守備」について改めて取り組もうとしたのだ。
その結果、このスイス戦では少なくとも「前からボールを奪おう」、「ボールホルダーにプレッシャーはかけよう」という姿勢は見られた。だが、そこに結果はついてこなかった。その試みが「不発に終わった」ためだ。
下記は、前半4分のスイスのスローインに対しての動きを図示したものである。
まず、シュテファン・リヒトシュタイナー(赤の2番)がグラニト・ジャカ(赤の10番)に対してボールを投げるのだが、この時点で、そのボールに対して「誰がいくのか」が不明瞭であった。
位置的には本田はヴァロン・ベーラミ(赤の11番)を見ているため、大島僚太がさらに前に動いてプレッシャーをかけるべきだったのか、もしくは本田を前に押し出すのが適切かは難しい所であるが、いずれにせよ、完全に守備組織は機能していなかった。
この後、ジャカはボールをノープレッシャーで受け取り、左サイドから中央に落ちてきたブレール・エンボロ(赤の7番)に対して縦パスを入れることに成功。
さらに、このエンボロに対してのマークの受け渡しも出来ておらず、原口元気と長谷部誠が共に「見ている」だけの状態に。
そして、エンボロは中央へドリブルでボール運ぶと、マリオ・ガヴラノヴィッチ(赤の18番)にクサビを打ち、ガブラノヴィッチは左サイドからペナルティエリア内に飛び出してきたレモ・フロイラー(赤の8番)にスルーパスを送った。
このシーンではそのラストパスが少々大きく、飛び出した川島永嗣がキャッチしたが、一歩間違えていれば失点となっていたことは改めて言うまでもないだろう。