クロアチアの「釘抜き」

ただ、イングランドのシステムには弱点がある。ワンボランチのヘンダーソンがカバーするエリアが広くなりがちなのだ。

クロアチアはこの試合、フォーメーションを4-3-3に変更していた。肝となるのが中央の3枚。ブロゾヴィッチをアンカーとし、その斜め前にラキティッチとモドリッチを配置する。

これは明確な「イングランド崩し」である。

対4バック+2ボランチ特化を選択している相手に対して、中央の人数を3人に増やし、釘付けにされて前線と分断させられないように配置。

ラキティッチやモドリッチらを含めた前線は、攻撃の際にヘンダーソンの周辺へ入り込んで牽制。これでイングランドのセッティングを崩した。

クロアチアは試合開始直後に失点を喫し、さらに司令塔モドリッチも前半決して眩しいプレーをしたわけではない。しかし、彼らの動きによって、前半の時点ですでにイングランドは崩れていた。

デル・アリとリンガードが頻繁に下がってヘンダーソンの周囲をカバーしており、システムの根幹がか細くなっていたからだ。後付けと言われるかもしれないが、この時点でイングランドの命は風前の灯だと思えた。