■チームを支えるキーマンたち

前段で触れた通り、指揮官は複数のシステムを使い分ける策士だ。3-5-2の他に3-4-2-1、アンカーを置いた4-3-3も採用されているが、チームの“骨格”となるメンバーに変わりはない。

まずは、守護神のパウ・ロペス。スペイン代表にも選出されている気鋭のGKは、鋭い反射神経を活かしたビッグセーブが売り。ビルドアップでは徹底してショートパスを選択し、指揮官の理想に応えている。

また、リベロのバルトラは最終ラインのリーダーとして君臨。バルセロナのカンテラ出身ということもあり、ビルドアップのセンスは抜群だ。攻撃の才に秀でる背番号5にとって、3バックの中央は特長が活きる“願ってもない場所”である。

そのバルトラの前でアンカーを担うカルバーリョは、いまや欠かせない存在となった。今夏にポルトガルのスポルティングから加入すると、徐々に適応し、恵まれた体躯を活かしたボール奪取とそつのないつなぎで“捌き役”として機能している。

そして、カルバーリョとともに中盤を形成する2人のインサイドハーフも紹介したい。

若かりし頃から将来を嘱望されてきたカナレスは今季、キャリアハイと呼べるパフォーマンスで攻撃を牽引中だ。キレのあるドリブルとスルーパス、エリア内に進出する動きでチームトップのリーグ戦5得点をマークしている。

そのカナレスとともに崩しの軸を担うロ・チェルソも、潜在能力の高さを見せつけている。今夏にパリ・サンジェルマンから加入した左利きのコンダクターは、正確なパスと強烈ミドルで定位置を確保。

パリ時代にはアンカーで起用されたこともあったが、やはり最適ポジションはインサイドハーフだろう。攻撃に意識を傾かせた方が持ち味を発揮できる。