天皇杯で3回戦に進出
今季は天皇杯岩手県予選を制し、本選2回戦(9月23日)では宮城県代表でJFL3位のソニー仙台を3-2で打ち破った。3回戦(10月28日)でJFLのラインメール青森に1-2と惜敗したものの、3回戦進出は岩手県勢最高タイの好成績だ。
富士大の躍進はチーム戦術「ヒョウ狩り」にある。高鷹(こうたか)雅也監督が動物番組を視聴していた際、ヒョウが獲物に体当たりを仕掛けて態勢を崩した瞬間に、トドメの2撃目を与えて仕留める狩猟からヒントを得た。
コンパクトな陣形から相手ボールホルダーに激しいプレスを連続で仕掛けてボールを奪い取る戦術は、ソニー仙台から金星を挙げた。ヒョウ狩りに手応えを感じていたイレブンだが、東北リーグでは思うようなサッカーができなかった。
岩村主将は「ヒョウ狩りをチーム全体でうまく体現することができなかった」と明かした。東北リーグではボールを持つ展開が多く、陣形が間延びするなど理想とする速い展開で仕掛けることができなかった。「原点回帰というかベースを見直した。90分間走りきるベースとスピード感を大切にした」と戦術の根本に立ち返り、チームに戦術を浸透させた。
ボールを持てば素早くサイドアタックにつなげ、ボールを持たれれば素早い寄せからカウンターにつなげて東日本国際大を圧倒。高鷹監督は「瞬時の判断をよりスピーディにしていきたい」と攻守一体のヒョウ狩りの完成を目指す。
セレッソU-18でJ3も経験、GK折口
ヒョウ狩りを駆使して全国大会出場を決めた富士大には、傑出したGKがいる。東北第2代表決定戦に出場したルーキーGK折口輝樹は、安定したパフォーマンスで東日本国際大の攻撃陣を寄せ付けなかった。
鋭い反応に、精度の高いロングキック、安定したセービング、的確なコーチングと185㎝の恵まれた体格。さらにセレッソ大阪U-18在籍時には2種登録され、J3の試合も経験した実力者だ。関西、関東の大学も進学先の選択肢にあったが、高鷹監督の熱烈な誘いを受けて富士大入学を決めた。
天皇杯も守護神として活躍したが、東北学生リーグでは思い描いたパフォーマンスを発揮できなかった。折口は「キックは安定しないし、波があった。(リーグ戦中は)うまく改善もできず、一番いいプレーにたどり着けなかった」と振り返った。この日も前半は高精度パスを前線へ供給するも、後半は強い向かい風が影響して思い描いたキックを展開できなかった。