「GKの基本となるパフォーマンス」を見せるためのメニューとは。

――GKだけのセレクションとは、「実際どういうことをするんだろう」と感じる方も多いと思います。どんなメニューで行われたんですか?

まずは、30名の募集に対して、50名ほどの申し込みをいただきました。私どもは「チャレンジの提供」という点を重視しているので、応募してくださった皆様全員に受けてほしかったのですが、安全性やプレー時間の確保を考えてお断りする選手も出てしまいました。

内容としては、ゴールキーパーの「3大プレー」…シュートストップ、クロス対応、キック。その3要素を中心としたトレーニングです。あとはゴール前でのプレーですね。攻撃が3、守備が2、さらにゴール前の攻防として少しミニゲームも行いました。全体では2時間ほどになります。

――普通の試合形式のトライアウトでは、試合中にゴールキーパーがこの状況をほとんど経験できない。

おそらく、1度か2度あるかないかぐらいではないでしょうか。

――一方で、スカウトする側としては、試合中の声かけや流れの中のポジショニング、密集の中での強さのようなものも見たいのでは?

もちろんゴールキーパーも11人の中の1人ですし。試合の中で何ができるか、どういう状況判断ができるかというのは大前提です。

ただ、それ以前にきっちりとしたプレーパフォーマンス。キャッチング、セービング、クロス対応、キックですね。試合に出るために必要な要素が細かく分類されています。

まずはそこを見てもらう。その中で選手の個の特徴が必ず出てきます。ですので、大きいゲームはせずに「ゴールキーパーのトレーニング」にフォーカスしてセレクションを行いました。

――確かに純粋な技術や身体能力が見られるような形でもありますよね。メンバーを見せていただいたんですが、かなりレベルの高い選手が集まっていますよね?

J3やJFLに所属していた選手、大学のトップチームでプレーしている選手にも来ていただきました。本当にいいパフォーマンスを持ったメンバーが集まってくれたのではないかと思います。

――今回のセレクションを統括しての評価は?

私をはじめ、スタッフの予想以上のものを見せてくれました。選手がとても意欲的に取り組んでくれたおかげです。32人の寄せ集めではありましたが、すぐ打ち解けて、よく声をかけ合って、お互いを高め合ってプレーしてくれました。

見に来ていただいたクラブのスカウトの方も本気でゴールキーパーを求めていて、ピッチレベルやスタンドから真剣に見ていただきました。トレーニングが終わった後も選手といろんな話をしているのを見て、私どもの意図は十分に伝わったセレクションになったのではないかと思っています。

――チームの編成からすれば、キーパーはできるだけ早く決めたい部分ですよね。早い時期に行ったのは正解だった気がします。

そうですね。やっぱりゴールキーパーはチームの柱なので、そこが決まってくると編成がやりやすくなると思います。