フランチェスコ・トッティ

現代イタリアサッカー界のカルト的英雄、そして、その忠誠さで崇拝される10番は、デルピエロだけではない。

ルチアーノ・スパレッティほどトッティのケースをうまく表現した人間はいない。彼はこう言った、「コロッセオをローマから移動させるほうが簡単だろう」と。

25年もの間、彼をスタディオ・オリンピコから引き離すほどの魅力的なオファーはなかった。

ローマで唯一となるスクデットを獲得した2000-01シーズンの2年後、レアル・マドリーがアプローチをかけた。

だが、王子は「学校で最も大事なのは家族だと教わった。貧しい両親のもとを去り、金持ちの他人と暮らす話など聞いたことがあるか」と言うだけだった。

ローマでのトッティは他で成し遂げられたであろう何分の一も手にすることはできなかった。

だが、セリエA史上2位となる得点を決めた男は、2017年にサッカー界で最も感動的な別れを楽しみ、涙と笑顔を浮かべた。それはどんなトロフィーも彼にくれなかったであろう感情だ。