現在Jリーグでも問題になっているサッカー選手やその家族への誹謗中傷。
かつてはなんとうつ病を告白してプレーしていた選手がチームメイトからも中傷されるという事件を明かしたこともある。
それを『BBC』で明かしたのはフォーファー・アスレティックやカウデンビースなど下部リーグでプレーしてきたデイヴィッド・コックスという選手。
彼はうつ病との戦いを行いながらサッカー選手としてプレーしており、手首を切って自殺未遂をしたこともあった。そのメンタルの問題を公にし、仲間やファンにもその事実が知れ渡っていた。
デイヴィッド・コックス
「自分の病気を明かしたあと、ファンからは『一回首を吊れ、そして今度は正しくやれ』と叫ばれた。他の選手からも、僕が手首を切ったことについて言及されたりした。
ファンは金を払って試合にやってきて、言いたいことを言って、家に帰って忘れてしまう。しかし僕はその後も影響を受ける。
酷いタックルや激しいコンタクトプレーのあと、『手首に気をつけろ。お前はサイコ(精神異常者)だから、袖をまくらないほうがいいぞ』と言われたりね。
更に困ったことに、彼らは謝罪に来て『本当にすまない。自分にもメンタルの問題で自殺した知り合いがいた』と言う。
それを聞いて僕は『なんでそんなことを言うんだ』と思う。謝罪するのはいいことだけど、そのような誰かを見たことがあるのなら、なぜそんな言葉を使うのかと。
相手のプレーが気に入らないからといって、なぜそれを言うことが許されるのか?これはサッカーの試合なんだ。
メンタルヘルス差別は、私にとっては人種差別と同じくらい酷いことだ。人々はこれを病気だと考えていないのかもしれない。物理的には見えないからね。
ただそれは病気が存在しないという意味ではない。僕が経験したことは、特に最悪のものというわけじゃない。なぜならもっとひどい状況にある人たちがたくさんいるからだ。
それでも、これまでの人生で最悪の時期をサッカーで過ごしてきた。人々に嘲笑されたり、からかわれたりしても、試合後に握手を交わせば忘れ去られる。最悪なことだよ」
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なお、コックスはこの3年後の2021年に行われた試合中に相手ディフェンダーから中傷されたことをきっかけに引退を宣言。ただ4ヶ月後にピッチへ復帰し、現在はスコットランドの5部でプレーしているという。