異例の長期帯同とプロ契約の経緯
特別指定選手としてJ2で20試合に出場した五十嵐だが、このケースは非常に珍しい。過去に特別指定選手でプロ公式戦20試合以上に出場した選手は同制度が始まって1998年以来2選手しか存在しなかった。
東北学生1部仙台大に在籍していたMF松尾佑介(現・J1浦和レッズ)がJ2横浜FCでリーグ戦21試合に出場し、昨季に特別指定選手史上最多出場記録を更新した東海学生1部名古屋学院大に所属していたFW近藤慶一(よしひと)がJ2いわきでリーグ戦26試合に出場した。
ただこの2選手は地方の学生リーグ出身であるため大学サッカー部も協力的であったが、リーグ戦を重要視する傾向がある関東学生リーグの大学所属選手が長期に渡ってプロチームに帯同するケースは極めて異例だ。
過去にJ1北海道コンサドーレ札幌でJ1に6試合、リーグ杯に8試合出場した当時日本大MF金子拓郎(現・ベルギー1部コルトレイク)や、J2レノファ山口で2季合計でリーグ戦18試合に出場した当時慶応義塾大DF橋本健人が二桁試合に出場したが、五十嵐が現れるまでプロ公式戦に20試合以上出場した関東学生リーグの大学所属の特別指定選手は存在しなかった。
「本当は最初の春休み中に行われた熊本戦、甲府戦、その次のもう1戦(合計)3節くらいで、関東リーグ開幕1週間前に大学へ戻れと言われていました。自分は海外でプレーしたいという思いがずっとあって、少しでも早くプロのピッチでやることで自分の可能性を広げられるし、仕事として自分の価値を高められるんじゃないかと思いました。
ましてやいわきという素晴らしいクラブで自分の能力を高められるんじゃないかというところで大学の監督、いわきの大倉社長にもお願いして、話し合って許しをもらいました。
今回退部という形で夏の移籍期間でサッカー部を辞めさせてもらっていわきに加入しました。あまり大学ではない事例ですけど、本当にいろんな人に支えられて感謝の気持ちでいっぱいですね」と異例の長期帯同とプロ契約の経緯を丁寧に説明した。