来季プロで戦うために大学ラストイヤーでさらなる成長を
前半34分にMF東廉(れん、4年、清水エスパルスユース)と交代で投入された駒沢。早稲田の背番号9がピッチに入ると攻撃に流動性が生まれ、1-1の後半29分には鮮やかなループシュートで決勝点を奪うなど、結果でも内容でも別格の存在感を見せた。
「キーパーからのパスをうまくカットしてゴールが開いてたので、自分自身フォワードとしてシュートには絶対的な自信がありますから迷わず打ちました」と振り返った。
敵の急所を素早く見抜く洞察力、迅速かつ的確な判断力、優れたシュート精度は傑出していた。そして常にラインブレイクを狙う動き直しと相手に圧力をかけるフォアチェックを支える運動量は無尽蔵であり、頼もしいストライカーが来季横浜FCに加入する。ファンの期待も大きい駒沢は、複数クラブのオファーの内から現在J2首位を走る強豪クラブを選択した。
「この夏の中断期間でも練習参加に行かせてもらいました。そこで自分の強みである背後へのランニング、シュートは通用する部分もありながら動きの質、連動の部分ではまだまだ足りないと感じました。来年、横浜FCはJ1で戦うつもりですし、そこに自分が試合に出て、スタートで関わり続けていくには(力が)足りないと感じています。来年J1の舞台で活躍するために、こういった大会、リーグ戦で成長していきたいと思っています」と慢心は一切なく、どん欲に努力を重ねている。
総理大臣杯はあくまで通過点であり、「日本一も大事ですけど、自分たちはまだリーグ戦が残っていて、そこにうまく繋げるための大会でもあると思っています」と関東大学2部リーグに焦点を置いている。2022年シーズンに2部降格をした古豪は、現在関東大学2部で8位と1部昇格圏内の2位慶応義塾大と勝点が8点差離れている。残り10試合で白星を重ねて、3季ぶりの1部復帰を虎視眈々と狙っている。そして来月27日午後2時に慶應義塾大下田グラウンドで開催される関東大学2部第19節で再び宿敵慶應と激突する。
今季早慶戦で2勝1敗と勝ち越したが、駒沢は切り替えて最後の早慶戦に臨む。「リーグ戦も自分たちは負けが許されない状況です。慶應は自分たちが上位で前期も負けています。そこは1回いまの2勝を忘れて、自分たちが上のチームと戦うつもりで戦わないといけないです。本当に宿敵慶應がいてくれたからこそ、自分たちの成長はあると思っています。そこのリスペクトを絶対に忘れずに戦っていきたいと思います」とライバルを称え、来月決着をつける構えだ。
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大学サッカー有数のストライカーと称賛される駒沢が背負うタスクは多い。来季プロの舞台で戦うための成長、早慶戦での勝利、関東大学1部復帰と難しいミッションが並ぶが、それでもこの男ならやってくれると期待させられるスケールの大きさを持っていた。早稲田の背番号9の活躍を今後も追っていきたい。