[天皇杯決勝ガンバ大阪0-1ヴィッセル神戸、23日、東京・国立競技場]

関西対決となった決勝は両者拮抗した展開となったが、後半19分に神戸FW宮代大聖の先制点を許し、G大阪は2015年度の第95回大会以来となる9大会ぶり6度目の優勝を逃した。

FW宇佐美貴史欠場の中で団結した戦士たち

G大阪MF倉田秋は4-2-3-1の左サイドハーフとして先発出場して攻守に奮闘。キックオフ2時間前に負傷離脱(右ハムストリング肉離れ)が発表された主将FW宇佐美貴史の分まで攻撃をけん引したかった。

クラブの象徴であり攻撃の要だった青黒の背番号7を欠いて、試合は神戸有利に進むかと思われたが、大坂の名門がスタートダッシュに成功した。

主将FW宇佐美貴史

G大阪の左サイドでボールがテンポ良く回り始めると、前半10分に同サイドのペナルティーエリア前にいたMF山田康太が前線へクロスを供給。すると3列目から飛び出したMFダワンが頭で合わせた。相手GKに阻まれたシュートはそのまま右にこぼれると、MF山下諒也がふわりと折り返し、再びダワンがヘディングシュートを放つも、この試合最初の決定機はゴール左側へ外れた。

神戸FW武藤嘉紀(よしのり)は「全員が闘う集団だった」と相手を評し、やりにくさがあったと明かした。試合序盤のチャンスによって勢いづいた青黒の戦士たちは、宇佐美の気持ちを背負い、一心同体となって決勝に挑んだ。

G大阪アカデミー出身の倉田は、チームに9大会ぶり6度目の優勝をもたらそうと攻守に絡んで存在感を見せた。マッチアップした神戸DF酒井高徳(ごうとく)が高い位置を取れば守備に戻り、カウンターのチャンスになればいち早く前線へ駆け上がった。

G大阪のダニエル・ポヤトス監督(撮影・Ryo)

G大阪のダニエル・ポヤトス監督は「倉田を(サイドから)中に絞らせて、酒井選手をブロックした。サイドで2対1を作って、相手のサイドバック対策をできたことで、いい前半になった」と背番号10の貢献を明かした。

決して悪い流れではなかった。それでも倉田は「いい時間帯に1発で仕留めておかないと、相手が後半に(相手が)吹き返してくると分かっていたんで…」と宇佐美を欠いたチームの決定力不足を悔やんだ。今月26日で36歳となるベテランの言葉は徐々に現実になった。