[J1昇格プレーオフ(PO)準決勝、モンテディオ山形(4位)0-3ファジアーノ岡山(5位)、1日、NDソフトスタジアム山形]

山形は0-3で岡山に大敗して5度目のJ1昇格PO(J1参入POも含め)は準決勝敗退となった。試合開始早々から岡山の激しいプレッシャーに押し込まれ、前半31分、同34分に被弾。後半39分に3失点目を献上して圧倒された。

前半終了間際に得点源のFWディサロ燦(あきら)シルヴァーノが負傷退場し、ハーフタイムにはMFイサカ・ゼインが脳震とうの疑いによる交代、後半9分にDF川井歩のレッドカード退場とアクシデントが重なる形で悪い流れを断ち切れなかった。

我慢するところで我慢できなかった

クラブ記録を更新するリーグ戦9連勝でJ1昇格POに進出した山形は、以前見せた勢いをピッチ上で見せられなかった。前半31分にゴール前左でパスを受けた岡山DF本山遥がシュートフォームをつくると、DF山田拓巳が身体を投げ出してブロックに入ったが、無情にもゴール右側へシュートが入った。失点から3分後に追加点を許し、山形は岡山の勢いに飲み込まれた。

岡山DF本山のシュートをブロックに入った山田(右)

山田は「我慢するところをきょう我慢できなかったのが、1番大きい」と深く肩を落とした。

リーグ最終節からPO準決勝まで約3週間の長いインターバルを経て決戦に臨んだ。山形イレブンは慢心も油断もなく、この決戦に向けて着々と準備を進めてきた。今季は岡山に2分と敗北しておらず、引き分け以上で決勝進出が決まる有利な状況だった。9連勝の勢いが切れたわけでもなければ、油断も慢心もなかっただけに選手たちの落胆は大きかった。

「連勝を終盤戦かなり重ねてきましたけど、その中でも浮かれる様子もなくやれていました。POの前でも何か普段と違った雰囲気はそんなに感じなかったので、いい準備ができていた感じがありました」と振り返った。

今季で通算5度目の昇格POとなった山形は、2014年シーズンのPO優勝以来敗退が続いている状況だ。山形一筋で在籍17年目の山田はこれまで4度POの壁に阻まれてきた。

「これだけチャレンジしても1回しか勝ち抜いていないですし、それだけPOは何が起こるかわからない。僕たちに限らず、きょう向こう側のブロックでも年間順位は下の(ベガルタ)仙台さんが4対1のスコアで勝ったと聞いています。何があるかわからないのがこのプレーオフ一発勝負だと思うので、(POを勝ち抜くために)何が必要かうまくここで言い切れないです。

プレーオフくらいの順位には力の差がないので、そこを勝ち抜くというよりは、自分たちのスタイルや、自分たちの強さを強固なものにして自動昇格…。

もちろん今年も優勝を掲げてスタートしましたけど、どこといつやっても、自分たちが常に普段通りの力を出せるというか。どこがどういうやり方をしてきても『自分たちはいろんな手を使って勝てる』という。それくらい圧倒的な力が必要だと思います。

それくらいの力をつけて昇格しないと、J1でその先の定着や、J1で上を目指すところには届かないと思う」とPOの難しさを吐露した。

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ただ今季J2終盤の主役は間違いなく山形だった。切れ目のないパスワーク、素早い縦への突破など多彩な攻撃を見せて、PO進出を決めたサッカーは多くのファンを魅了してきた。10季ぶりのJ1復帰は叶わなかったが、来季こそは戻るべき場所へ戻らなければならない。翌シーズンで在籍18年目を迎える背番号6を筆頭に、山形イレブンが笑顔でJ1復帰を果たす瞬間をこの目に焼きつけたい。

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