上記を踏まえ、上田を生かすための理想的な布陣は上図だと考える。

前提として、今やワールドクラスのタレントとなりつつある三笘と久保はやはり外せない。伊東や堂安など打開力に優れた選手は他にもいるが、それぞれブライトン、レアル・ソシエダの躍進をけん引した両名を軸に攻撃を組み立てるべきだ。

また、前述の通り三笘と久保は最近のA代表において上田との共演が少ないため、長時間ともにプレーしてコンビネーションを高める必要があるだろう。この点については、次のセクションで詳しく述べることにする。

日本が世界に誇る両翼を操るトップ下には、鎌田を推したい。気の利いたプレーとパスでポゼッションの潤滑油となり、受け手にも出し手にもなれる鎌田は、現在のサムライブルーで希少価値が非常に高いプレーヤーだ。

その鎌田はプレースタイル的に見ても、途中出場で流れを変えるというよりは、スタメンで起用した方が持ち味を生かせる。90分を通してゲームに関与しながら、流れの中で判断力やパスセンスといった強みを発揮するタイプだからだ。能力の高さからして、当然ながら現チームの中心にならなければならない存在である。

森保一監督はこれまで、鎌田をボランチでも起用してきた。だが、今回の招集メンバーには中盤センターを主戦場とする選手が多数(遠藤航、守田英正ら計6名)いることを踏まえても、「4-2-3-1」が採用されるのであれば、鎌田をトップ下で固定すると見る。鋭い動き出しを得意とする上田をフィニッシュに専念させるためにも、鎌田とのホットライン開通に期待を寄せたい。

森保監督に求めたい“我慢の采配”

前項では、基本形の「4-2-3-1」で上田綺世が輝く方策を探った。筆者は6月シリーズでの上田のA代表初ゴールを待ちわびているが、それと同じく実現してほしいことがある。チームを率いる森保一監督の“我慢の采配”だ。

現在の日本代表のタレント力は歴代最高といっても過言ではない。それゆえ、森保監督は様々な組み合わせを模索しているが、逆にチームの骨格が定まりづらい一面もあるのではないか。