ワールドカップへ向けた代表23名が発表されて初めての試合となった、キリンチャレンジカップ2010の韓国戦。平日月曜日の開催で天気も生憎の雨であったが、会場の埼玉スタジアムへは57,873人のサポーターが足を運んだ。
試合は各メディアで報道されている通り、セルジオ越後氏も憤怒するほどの内容を披露した日本代表が、ホームで0-2の完敗。生で観戦していても、日本代表と韓国代表の差は明らかだった。
まず両チームの選手を比較すると、技術や戦術云々の前に、メンタルの部分で大きく隔たりがあった。韓国代表はボディコンタクトを恐れず、球際の激しさも日本代表のそれを数段上回っていた。日本代表の選手で戦えていたのは、この日右サイドバックで起用された長友のみ。韓国代表のキャプテン、パク・チソンとマッチアップするシーンが多かったが、互角に渡り合うことが出来ていたと言える。強いて言えば大久保も悪くは無かった。コンディションが良かったようで、「俺にボールをよこせ」と大袈裟なジェスチャーを見せていた。ただ周囲との温度差は激しく、それだけが原因ではないだろうが、ピッチサイドに置いてある給水ドリンクの容器を思い切り蹴り上げるシーンなども見られた。
また、今回の日韓戦、日本はピッチ上の戦いだけでなくスタンドのサポーターも韓国に負けてしまった印象がある。普段Jリーグで埼玉スタジアムを使用しているのが浦和レッズということもあるのだが、この日の日韓戦は代表戦ということでサポーターの毛色は違っていた。どちらが良い悪いという話ではないが、少なくとも日韓戦に来ていたサポーターは、この試合を普段の親善試合と同じものであると捉えていたようだ。EXLILEのTAKAHIRO氏が国歌斉唱した際、黄色い声援が飛び交っていたあたりでもそれは見てとれたのではないだろうか。
ワールドカップ本大会を目前に控えた我らの代表が、ピッチ上で不甲斐ない出来を晒しているのを目の当たりにしながら、日本代表サポーター応援は韓国サポーターと五分。スタジアムへ来ているサポーターの絶対数が違うことを考えれば敗北だ。仮に浦和サポーターであれば、何らかのアクションを起こして選手・監督へメッセージを伝えていたであろう。
ピッチの内外で敗れた日本代表。試合をする度に課題ばかりが浮き彫りとなり、一向に改善される様子も見られない。本大会まで残り3週間あまりだが、残念ながら問題は山積していると言わざるを得ない。
半袖のユニフォームを着て応援していたサポーターが「なんか今日、寒くね?」と漏らしていたが、これは気温以外の様々な要素を見事に表現した言葉だった。