レッドカードかイエローカードか―。
先日行われたUEFAチャンピオンズリーグRound of 16、マンチェスター・ユナイテッドvsレアル・マドリーの2ndレグでは、試合内容以上に物議を醸したことがあった。それは、56分にナニが犯したファールに対する主審の判定である。
ことの詳細は後述するとして、この判定をめぐっては様々な意見が聞こえてきた。「故意じゃないからイエローだ!」、「足の裏を見せたからレッドだろ!」、「そもそもナニは周りを見ていたのか?」など、自身がユナイテッドサポーターであるかに関係なく、あらゆるサッカーファンが自らの解釈を述べ、Twitter上は混沌の様相を呈した。もちろん、私もそのうちの一人であった。
では、この一件から見えてきたものとは一体何だったのだろうか。今回はこの判定について吟味をするわけでも、試合内容を語るわけでもない。この一連のムーブメントからあぶり出されたことを述べてみたいと思う。
▼ナニの退場を振り返る
今回の件を要約してみよう。
上述したマンチェスター・ユナイテッドvsレアル・マドリーの試合は、ユナイテッドが1-0とリードして迎えた56分、ナニがアルベロアに対し足の裏を見せる危険なチャージにおよんだ。
後方からのロングボールをコントロールした足がアルベロアの腹部を襲い、主審のジュネイト・チャクルはナニへ退場の判定を言い渡した。これに対して、ベンチをすぐに飛び出したのがファーガソン監督。彼を含むユナイテッド陣営は猛講義に出たが、判定が覆ることはなかった。
問題は、この退場が結果的にユナイテッドからリズムと平常心を失わせたことにあった。10人になったユナイテッドは集中力と共通意識を欠き、その後わずか13分間で立て続けに2失点を喫し逆転を許す。勝利を手中に収めかけていたユナイテッドは、ヨーロッパの舞台から突如姿を消すこととなったのだ。
青天の霹靂―。それはあまりに突然の出来事だった。この判定が試合結果を大きく変えてしまったことは、この試合を見ていた人なら誰もが痛感したことだろう。こうして、香川真司のUCL初挑戦は意外な形で幕を閉じることになった。