▼ルールブックによる解釈

ナニの退場は果たして正当なジャッジだったのだろうか?今コラムの趣旨はその部分にはないが、それでも一度検討してみる必要があるだろう。

JFAが発行する『サッカー競技規則』の第12条に記載された直接フリーキック(ファール)の項目は以下のようなものである。一部を抜粋する。

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映像を見る限り、ナニは確かにアルベロアを蹴っている。つまり、このプレーがファールであることはどうやら間違いなさそうであり、マドリーには直接フリーキックが与えられることになる。問題は、このプレーが「警告」なのか「退場」なのかという点だ。

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同第12条は、警告についてこのように記している。「反スポーツ的行為」には様々なケースが含まれるが、今回のナニのプレーが該当しそうなのは「直接フリーキックとなる7項目の反則を無謀に行う」という項目だ。「無謀に」とは、「競技者が、相手競技者が危険にさらされていることをまったく無視して、または結果的に危険となるプレーを行うこと」 であるという。では、退場の定義はどうだろうか。

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同第12条は「著しく不正なプレー」を退場の条件としており、「過剰な力や相手競技者の安全を脅かす方法で(略)、相手競技者に突進すること」 だと注釈している。

つまり、ナニのプレーが「無謀」であればイエローカードが妥当であるし、「過剰な力での突進」であればレッドカードが妥当だということになる。 そして、この判断をするのはあくまでも主審だということも忘れてはいけない。

また、その反則が故意によるものかどうかはあまり焦点にならないことも分かる。 あくまで主審の目にどう映ったのかが優先され、故意性を含めて主審の判断に委ねられる、と解釈できるのではないだろうか。ナニのプレーをめぐる正しい判定は、以上のような手順と基準で行われることになる。

なお、この資料はJFA公式にて誰でも閲覧が可能だ。余談だが、私自身高校時代に審判講習会でこの冊子を受け取ったこともあり、今でも大切に保存している。