絶対的な存在であり続けたことが栄光の理由の大部分を占めるといってもいいだろう。

ただ、最も絶対的であるものはクラブであることを、この引退をもって改めて知らしめた。クラブより大きいもの大きなものは存在すべきではない。この引退も全てはクラブの為だ。引退の理由はいくつあれど、こう言われればこう思ってしまうし、事実そうだから仕方がない。サイクルのピークを迎える前に引き渡すことで次期監督の仕事のしやすいように、また、自身がクラブに残ることで次期監督をサポートやカバーする役割を負う。徐々にフェードアウトしていくのかもしれないが、こうすることでリスクを最小限に防ぎクラブの栄光が限りなく続くことをマネージメントしている。

彼が作り上げた“マンチェスター・ユナイテッド"という存在は、フットボールクラブの枠を超えて、企業としての価値もとてつもない規模になっている。全世界にユナイテッドを愛するものがおり、毎試合世界各地で勝利とゴールの度に熱を上げる。何か1つの側面からこうであると定義するのは難しい。そういった存在になってしまった。

デイヴィッド・モイーズが同じような栄光をもたらし続けられるのか。そういった不安はもちろんある。サー・マット・バスビーにサー・ヘアドライヤー。オールド・トラッフォードを夢の劇場であり続けさせてくれた偉大なる先人たちに近づく可能性は神のみぞ知る。ただ、ユナイテッドに栄光をもたらしてきたのはスコティッシュたちだ。

ユナイテッドを愛する一人の人間として感謝しかない。あなたの作り上げたクラブは私を虜にし、魅了し続け、時には悲しみを、時には怒りを、そして大部分は幸せと美味しいビールと歓びのチャントをもたらしました。こんなコラムを書いていられるのも全てはあなたとユナイテッドによるもの。そしてこれからも私の中の大半を占め続けることでしょう。

ありがとう、そしてお疲れ様でした。世界一のマネージャーの勇退にこれほどふさわしい言葉はない。


筆者名:db7

プロフィール:親をも唖然とさせるManchester United狂いで川崎フロンターレも応援中。
ツイッター: @db7seven

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