ギリシャが敷くのは4-1-4-1。相手に応じて若干選手は変更するが、アンカーにアレクサンドロス・ジオリス(PAOK)を配置し、中盤の4枚+アンカーで相手の攻撃の芽を摘む。中盤の4枚が高い位置をとり、中盤を密集させてパスコースを塞ぎつつ、アンカーで潰す。隙を見ると中盤の4枚も積極的にプレスをかけるなど、中盤にはハードワークができる選手が多い。ギリシャが堅守である所以は、この中盤4枚の組織力あると言えよう。
しかし、である。築く壁こそ硬いが、ギリシャにはカウンターの怖さがない。傑出したパサーもいなければ、縦に速い選手もいない。パスの精度は日本と比べると落ちるし、チームとしての推進力はかなり低いのである。
ギリシャは強固な守備を誇るチームだが、いわゆる中東的な守備はしない。自陣のゴール前を固めるのではなく、比較的前めに重心を起き、綺麗な2ラインを形成する。最終ラインにもボールを回せ、中盤の底に遠藤保仁という絶対的なコントロールタワーを置く日本代表にとって、ギリシャは意外と相性の良い相手だというのが個人的な見解だ。
おそらく、日本代表はボールを支配できる。それも、最終ラインでボールを保持する時間が長くなるだろう。そこに遠藤や長谷部誠(山口蛍)が絡みながら相手の中盤を剥がす。そこさえクリアできれば、得点までの道のりはそう遠くないだろう。勝算はある。少なくとも、グループステージで相まみえる3チームの中で、最も価値を計算できるチームであるのは間違いない。