ここしばらく、彼らには「最強」であることが最も大きな足かせになっている。それが、予選で難なく勝てて、決勝大会の大一番では勝てない理由だと考えている。
おそらく、コートジボワールの中心選手は自分たちが実力で上回っていることを分かっている。そして、それが「様子見」や悪い意味での「王様サッカー」を作り出している。
何にでも対応できる自信があるからこそ、狙い所のない立ち上がりをする。プレスをかけるでもなく、ラインを上げてコンパクトにするでもなく、かといって徹底的に守るわけでもなく、最初から堰を切ったように攻めるわけでもない。ここ数年、「あわよくば省エネで勝ちたい……」という欲求が見え見えの試合が多いのだ。
監督がフランソワ・ザウィからサブリ・ラムーシに変わっても、それは全く変わらなかった。ということは、これは選手が原因だ。
それはブラジル代表にも似たところがある。だがもちろん、コートジボワールは、ブラジルではないのだ。
王様サッカーに耐えられる選手は、その力を備えた者だけだ。最終ラインが全員コロ・トゥレで、中盤が全員ヤヤ・トゥレで、前線が全員ドログバなら、きっと相手を圧倒できるだろう。しかし、現実はそうではない。個がすごいとは言っても、11人は揃えられない。
それに耐えられない選手はボール回しやポジショニングでミスを犯すし、求められるペースチェンジについて行けない。相手が自分たちの予想を超えたとき、王冠の金箔は剥がれていく。
日本がどのように戦うかという点においては、彼らがこちらをナメてくれるか、ワールドカップという舞台で目の色を変えてくるかどうかが大きなポイントになる。
彼らが「日本になら普通にやれば勝てるだろう」と思ってくれて、センターバックにバンバやアングーアが並んだら、怖がらずに自分たちからボールを動かし、最終ラインを激しいプレスで追い詰めていくべきだ。きっと意外なほどの脆さを見せてくれるだろう。
逆に彼らが目の色を変えて襲ってきたら……それはもう、耐えるしかないかもしれない。彼らが本気を出せば、アフリカのレベルを超越した存在となる。