前回コラムはこちら。「【コラム】「守れないプレミアリーグ」を振り返る。(20位~16位)

次は15~11位。こう、あれですよね。降格もしなかったけれどトップ10にもいけなかったということで「なんとなく不満が溜まっている感じ」のクラブを取りそろえております。多分ここの位置にいるクラブは大体が「もうちょいイケたんじゃねーか?」と思っているはず。


15位 アストン・ヴィラ @AVFCOfficial

降格を脱したことは良かったのだが、昨シーズンにもやった「今回はまあ、仕方ない。若手中心なので来季に期待」をそのまま繰り返したことが気にかかる。選手達のポテンシャルはあるのだが、イマイチ根本は個人の能力に依存したサッカーで、昨年とそこまで大きくは変わっていなかったような気がしてならないのも問題である。「ブレンダン・ロジャースが光だとしたら、ポール・ランバートは影」、「玄人はポール・ランバートを評価している」みたいなことを数年前にイングランドの記者が良く口走っていたのだが、「専門家はボヌッチではなくラノッキアを選ぶ。格が違う」とかいうイタリアで繰り広げられた数年前の比較を思い出すような気分である。専門家であろうと、成長は読めないということなのだろうか。そろそろ首筋も涼しくなりそうだし、来季は是非結果を。相変わらず謎のルートで東欧の若い選手を仕入れているのだが、育てる余裕があるのだろうかという疑問も浮かんでくる辺りが難しい。

ガブリエル・アグボンラホール

ステータスをスピードに全振りした人。圧倒的なスピードで抜け出したかと思えばたまに子どものようなプレーを見せるので、イングランドの育成システムにおける闇を感じさせる。いつになったら大人のプレーをこなすのかなあと思っていたが、もう27歳。スピードが落ち始める前になんとかしてほしい。

ロン・フラール

「スタムの後継者」という肩書は流石に色々とやり過ぎだった感はあるものの、20代後半辺りからその素質をやっと開花させ始めたCB。イングランドの中堅に1人はいる渋いCBへの道を着々と歩んでいる気がする。たまに見せる変態ゴールも魅力だが、今季得点はなかった。降格圏との差になったのは彼な気がする。

クリスティアン・ベンテケ

昨シーズンほど圧倒的ではなかったとはいえ、アストン・ヴィラに残留したベルギーの怪物は今季も十分に違いを作った。同郷のルカクが力とスピードだとすれば、この人は力とテクニックを兼ね備えたお洒落なマッチョ。インテリヤクザみたいなものである。ベルギーはCFになんかおかしなものでも食べさせているのだろうか。同僚デルフは「こいつは生肉を食ってるに違いない」と最初に練習したときに言ったらしい。若干悪口っぽい。冗談でもなんでもなくアストン・ヴィラの攻撃を1人で牽引する人なので、大怪我での離脱は痛すぎた。練習中の怪我だったのだが、ハーフライン付近でもベンテケの腱が切れる音が聞こえたらしい。怪我をするときまでなんかスケールの大きな話である。

シャルル・エンゾクビア

可愛い感じのするシャルル、という響きから出てくるのは全然可愛くない男。という嫌なギャップ萌えを狙うフランス人アタッカー。この名前を聞いていおりんを思い出す人もいるはず。不眠症の意味である「インソムニア」と監督に名前を間違えられて移籍するなど面白いエピソードには恵まれているが、今季はプレシーズンに怪我してそのまま何もしなかった。本来は絶好調と絶不調を繰り返す宝くじみたいな選手で、当たると1人でゲームを決めることもある。「シャルルを諦めない」。