ワールドカップ優勝を挟んでEURO連覇という史上初の偉業を成し遂げるなど、世界最強の名を近年欲しいままにしてきたスペイン代表。だが、前哨戦となる昨年のコンフェデレーションズカップ決勝ではブラジルに完敗。
そのブラジルなど規律をしっかりと保ちつつ前から積極的に圧力をかけてくる力があるチームには脆さを見せた。とはいえ、スペイン相手に一瞬のスキも見せることなくそうした戦い方ができるチームは限られているのも事実。デル・ボスケのもと成熟されたパスサッカーは健在であり、生半可な相手ならばギャップを作り出して容易く攻略できる。
また、そのデル・ボスケは「我々はたった1つのプレー方法(ティキ・タカ)しか持たないタリバンではない。深さのないポゼッションには何の意味もない」と語っているが、そういう意味ではシャビ・アロンソが復調したことも大きい。彼の精度の高いロングボールで相手DFに裏を意識させつつ、ラインが下がれば持ち前のティキ・タカが活きるし、その逆もまたしかりだ。
懸念だった9番(CF)の問題は今季飛ぶ鳥を落とす勢いだったFWジエゴ・コスタを帰化させた。“キレイ“な選手ばかりが揃うチームにあって相手との駆け引きに長け、とにかく狡猾な彼の存在は異質ともいえるが、ボックス内では常に相手の脅威となりえるうえ、守備面でのタスクもしっかりこなせるのでプレー面で問題になることはないはず。ただ、CFの控えとして今季乗っていたジョレンテ、ネグレドをメンバーから外してしまったのは気掛かり。また、唯一のウィンガータイプだったヘスス・ナバスもコンディション面を考慮した結果メンバー外となってしまった。デル・ボスケも非常に重要な選手と語っていただけに痛い離脱といえる。
スペインはアンダー世代も結果を残しており、デル・ボスケのもと42人の選手が代表デビューを果たしているが、層が厚く完成されているがゆえに、今回抜擢といえるのはアトレティコのMFコケくらい。今季のコケはリーガ王者の中盤で貫録さえ思わせるプレーをみせており、彼がニュースターになりえる可能性もあるが、爆発力のあるタイプではないだけに・・・
懸案材料を探せば色々と出てくるが、完成された美しいフットボールを誇る王者が簡単に敗れることは考えにくい。大会を大いに盛り上げてくれるだろう。
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