リバプールとアーセナル。お互いに「夏の移籍市場」の主役として、多くの選手を獲得したチームでありながら、前半戦は結果が出ずに苦しんでいる。

ウェルベックやチェンバース、サンチェスなど、夏に補強した選手がある程度求められた結果を出せているアーセナルと、新たに加わった選手達が適応に苦しんでいるリバプール。そういった観点から見れば差異はあるものの、昨シーズンに作り上げたチームとしての地盤を活用しきれていないという面では、両チームに共通する部分もあるのではないだろうか。

現在ゼニトで指揮官を任されている若手指揮官ヴィラス・ボアスがリバプールからの接触を認め、リバプールの元指揮官であり、現在ナポリ監督のベニテスも指揮官としてのオファーの存在を示唆したように、具体的な報道を伴ったブレンダン・ロジャースの解任説が増えている。結果に加えてこういった報道を見れば、昨シーズンとは一転、リバプールが危機にあることは明らかだ。

また、現状はリバプールほど深刻に捉えられている訳ではないものの、アーセナルも現在6位(12月23日現在)。長期政権を保つアーセン・ヴェンゲルの後釜となる指揮官の話題も絶えない。

後半戦の結果次第では上位に食い込んでいける位置をキープ出来てはいるものの、プレシーズンからの好調を保ってプレミアの前半戦を牽引した昨シーズンと比べると、現状の結果はアーセン・ヴェンゲルにとって満足のいくものではないだろう。移籍市場で大金を投じたフロントも、優勝争いに食い込むような結果を求めているはずだ。

両指揮官は当然、冬の移籍市場での補強による強化を仄めかしており、リバプールは得点源として期待されるダニエル・スターリッジ、アーセナルはハイラインを保つ上で重要な役割を果たす俊足CBローラン・コシエルニーといったチームの中心となるプレイヤーの一刻も早い復帰も待たれている。そういった意味でも、中間地点となる冬に「チームにとっての弱点を洗い出すこと」はチームの方向性を調整する上で重要だ。

リバプール対アーセナル。この試合は、両チームにとって多くの「課題と可能性」を洗い出すものとなった。「この試合を生かせるかどうか」は、ウインターブレイクの無い継続的なプレミアリーグを闘っていく中で、1つの「分岐点」になりかねない。

本コラムでは、「ブレンダン・ロジャースが、拘り続けた3バックを生かす方法を見出しつつあること」を中心に、両チームの戦術的な現在地について考察していきたい。

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