今回のコラムでは、アギーレ指揮下の3センターが「アッレグリの3センター論」を元にして読み解くと多くの問題を抱えていたことについて述べた。
勿論、アッレグリも論文内で「相手チームの特性が第1に来ることを忘れてはならない」と強調しているように、アギーレが攻撃的なフットボールを目指す上で構成を、後ろに長谷部、前に遠藤と香川という組み合わせにした事は想像出来るものの、やはりバランス面では大きなリスクとなったのだろう。
また、ハビエル・アギーレ自身が「3センター」の指揮経験自体がそこまで多くない監督であったことも考慮する必要があるかもしれない。指揮官を選択する上で、日本サッカー協会はチームの特性に合わない指揮官を呼んでしまった可能性はないだろうか。
締めの代わりとして、筆者個人のメッセージとしても冒頭のコメント(※前篇より)を送りたい。
"If you haven't found it yet, keep looking."(もしそれがまだ見つかっていなければ、探し続けなくてはならない)
フットボールは難しい。だからこそ、我々は常に探し続けなければならない。
マキシミリアーノ・アッレグリは3センターの専門家ではあるが、勿論この論文が全て正しいという訳ではない。執筆した段階とはアッレグリの考え方が変わっている可能性もある。
しかし、様々な議論を提供する枠組みとして、この論文は素晴らしいものだ。アギーレに関して、アジアカップに関して、日本サッカーを少しでも前進させるために議論は続いていくべきなのだろう。アギーレ政権での数か月を「意味の無かった空白期間」で終わらせないためにも。
「啓蒙主義の時代、グラスゴーでは街のレストランでワインを飲みながらでも、学術的な議論が行われていた」というのを歴史の授業で聞いたことがある。そこまではいかなくとも、日本においてサッカーの議論が少しでも身近なものになれば良いと思いながら、今回はページを閉じることにしよう。