タイムアップのホイッスルが鳴ると、モウリーニョ監督はチェルシーサポーターが集結するゴール裏の方へと向かって行った。

まるで「試合には敗れたが、我々がNo.1だ」とでも言いたいかのように、モウリーニョ監督は人差し指を一本立て、頷きながら歩を進める。

アウェイまで駆けつけたファンたちは、0-3という結果に満足していなかったに違いない。しかし、クラブに5シーズンぶりのリーグタイトルをもたらした指揮官がこうして労いに訪れたことが何よりも嬉しかったようだ。

【やや音量注意】

このシーンを、ファンがゴール裏から撮影したものがあった。

モウリーニョ監督はゴール裏に到着すると、応援に駆け付けたファンに拍手を送り、再び人差し指を突き上げた。

さらに、その後は観客の方を指さしている。これには「君たちがNo.1だ」のような意味合いがあるのかもしれない。0-3という完敗も影響しているだろうが、シーズン最後のアウェイゲームということもあり、今シーズンの遠征に参加したサポーターに向け感謝のメッセージを送っていたとも考えられる。

なお、モウリーニョ監督が試合後にアウェイのゴール裏へと歩いていくのはこれが初めてではない。

マンチェスター・ユナイテッドと優勝争いをしていた2006-07シーズン、第37節のアーセナル戦に1-1と引き分けたチェルシーはリーグ3連覇の可能性がこの試合で消滅した。試合はエミレーツ・スタジアムで行われたのだが、モウリーニョ監督は試合後真っ先にゴール裏のサポーターへと駆け寄り、ファンの応援に拍手していた。

なぜモウリーニョ監督がサポーターから愛されるのか―。その理由がよく分かるシーンであった。

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