前半は主にトップ下でプレーした奥川は開始早々の1分、中央で受けたパスを素早く右サイドに展開すると、これを抜け出した韓国人FWファン・フィジャンが流し込み先制ゴールをアシスト。
20分には相手GKのミスキックをヘディングで落とし、スマイル・プレヴリャクの追加点をお膳立てした。
あっという間の2失点…アウストリアにまだ2部は早かったのだろうか?
しかし伝統の紫のユニフォームを継承した誇り高き集団は、たった1700人の、しかし熱狂的な応援を背にここから猛烈な粘りを発揮。36分に1点を返すと、60分に追い付き、2-2の引き分けに持ち込んだのである。
アウストリアは今節終了後、降格圏の9位に順位を落とすこととなったが、彼らの何十倍も資金力が上の、才能豊かな選手達に本家の意地とプライドを見せたのだった。
やや幸運な形とはいえ2アシストを記録した奥川は後半左サイドへ回り90分間プレーした。彼にとってこの小さな舞台はただの通過点でしかないが、そんな場所にも複雑な感情が入り混じる壮大なドラマが確かに存在するのである。