その謎を紐解くには、Jリーグが発行している「規約・規程集」を参照する必要がある。
同規約集には、キックオフ時間について様々な記述がある。J1とJ2の要項をベースにその中身を見てみよう。
Jリーグ規約
第4章 競技
第56条 〔試合日程の遵守〕
Jクラブは、前条により定められた公式試合の開催日、キックオフ時刻および開催地等の試合日程を遵守しなければならない。
前提として、Jクラブは開催日や開催地を守らなければならない。
これに違反するとチームに反則ポイントが加算されることもある(1分につき1ポイント)。この反則ポイントは選手の警告や退場によって加えられ、一定の年間合計数に達すると反則金が科せられる。
にもかかわらず、なぜJリーグではキックオフ時間の遅刻が認められているのだろうか?
答えは「試合実施要項」の第31条に書かれていた。
2016明治安田生命J1・J2リーグ戦試合実施要項
第3節 運営
第31条 〔キックオフ時刻の厳守〕
(1) いずれのチームも、あらかじめ定められたキックオフ時刻を厳守しなければならない。
(2) 不可抗力またはテレビもしくはラジオの同時中継放送の都合によりキックオフ時刻を遅らせる場合は、主審およびマッチコミッショナーの事前の承認を得なければならない。ただし、テレビもしくはラジオの放送の都合による遅延は、5分以内に限る。
天候不良などの不可抗力以外にも、「テレビもしくはラジオの同時中継放送の都合」の場合、キックオフを遅らせることが認められている。
Jリーグの試合はCS放送以外にもローカルTVなどで放送されるケースがあり、同時放送の際には双方とも違ったタイミングでCMを入れることになる。そのため、両者にとって都合が悪くならないようにこのようなルールが設けられているようだ。
それでも、その場合の遅延時間は最大でも5分と定められている。キックオフが「04分」や「33分」といった中途半端な時間なのは、こうした規約に則ってのものであった。