もう一つの「ベストメンバー」問題は?

ただ、私は最初の三者会見の質疑応答ですぐ手を挙げました。

「2回戦は水曜開催ですが、1回戦を勝ち上がった都道府県代表チームはJクラブの本拠地へ遠征します。遠い地域での試合の場合、アマチュアクラブの選手達は会社や学校を休まないと行けませんが、その休業補償はできるんですか?アマチュアの方がベストメンバーを組めないという事態になりませんか?」

2回戦のカードのうち、1回戦勝利チームが登場し、J1やJ2のクラブと対戦する試合の日程表を、ちょっと簡略化して作りました。

<表1>天皇杯2回戦でJ1/J2クラブと1回戦勝利チームが対戦する組み合わせ

出場チームが代表する都道府県名で表記。ただしベストアマチュアで出場するHonda FCは「Honda」。県名の後ろに( )がある場合は、そのJ3チームが県代表。

2回戦は32試合が予定され、そのうち24試合が「J1ないしJ2クラブのホームに都道府県代表チームが登場」しますが、最低でも15試合はJ3が絡まない、純粋なアマチュアリーグ(大学を含む)のチームが遠征してきます。

一番問題なのは56番でしょう。松本山雅の待つアルウィンに乗り込むのは、FC徳島セレステとMD長崎の試合の勝者になります。1回戦を地元で戦うFC徳島セレステは四国リーグ所属、川島高校のOBを中心にしたチームを母体にして今年社団法人を設立したクラブだそうです(公式サイトより)。

MD長崎は三菱電機長崎を母体とし、長崎県リーグ1部では昨年まで7連覇(ウィキペディアと同チームFBより)。両チームとも昨年の天皇杯に出て、徳島セレステはヴォルティスとの「徳島ダービー」、MD長崎は大分トリニータとの九州対決に臨み、いずれもその1回戦で敗れています。

前回は比較的楽な移動(長崎→大分はそれなりにかかるとしても)でしたが、四国や九州から信州になるとそうはいきません。近い方の徳島でも、通常の日勤をこなしてからの夕方出発では、当日に松本には着けません。バス移動で深夜に現地のホテルへ入るか、途中の名古屋に一泊して朝に宿を出るかのどちらかです。

飛行機を使うしかない長崎はもっと大変で、欠航リスクが高すぎる当日移動(福岡→松本便)を避けるならば名古屋か東京で一泊です。しかも帰りも大変で、19時開始のナイトゲームの後に往路ルートを逆にたどっても、長崎空港に帰れる一番早いルートはバス車中で仮眠を取った後に羽田か中部からの第一便に乗る翌朝9時頃。まるで代表チームのW杯最終予選のようなハードさです。

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