ワイルドカード
ヴェンゲル監督は間違いなく現実主義者であり、4バックを好んでいる。だが、多くの人が期待しているように、4-2-3-1には戻らないかもしれない。
そうなると回帰するのは、彼の元祖システムである4-4-1-1になるかも。事実、ヴェンゲルが指揮するこの25年間において、アーセナルが最高のフットボールを展開したのは、4-4-1-1採用時だ。
4人の2ラインがピッチを上下に往復し、自由にふるまう『10番』と驚異的なスピードと決定力を誇る『9番』を配置する守備的ながらシンプルなシステムだ。
かつては、ニコラ・アネルカとティエリ・アンリが、天才デニス・ベルカンプの前方でプレーした。現在は、エジルがベルカンプ同様に10番の位置から魔術師のように操る。アーセナルが4-4-1-1でプレーするのを止めてしまったのは、アネルカやアンリなど多機能的なストライカーの不在によるものだ。
ラカゼットとエジルに完全なる自由を与えれば、2人はボールプレーとポジションの入れ替えにおいて、決定的なコンビネーションを作り出すだろう。
昨季の序盤にも、エジルとアレクシスが同じようなコンビを組んだことがあった。ラカゼットはよりオーソドックスなストライカーであることを考えれば、ヴェンゲル監督が彼を1.5列目に落としたいという衝動は抑えられるはずだ。とはいえ、これはあくまでワイルドカードであるべき。