ポルトガルで求められるもの

「本当に攻撃的で、失点を恐れず前に出るスタイル」

ポルティモネンセのイメージに対して、中島自身はこのように語ったようだが、この印象はポルトガルの他クラブも同様だろう。

印象論にはなるが、ほとんどのクラブが「個々の連携で崩す」というより、「個人技でいけるところまでいく」という方針が目立つ。

それはブラジル人を中心に「一芸に秀でた選手が多い」点も理由の一つだが、「組織として固まる前に攻撃ユニットの顔ぶれが変わりやすいから」という面もあるだろう。

ポルトガルリーグは、ベンフィカ、ポルト、スポルティングの御三家、そしてブラガ、ギマランエスを除くと、いずれのクラブも金銭面で苦しい。

そのため、「シーズン毎にメンバーが半分以上入れ替わる」というケースが日常茶飯事のクラブも少なくない。となると、組織面を向上させることは当然容易ではなく、必然的に個人技に頼らざるを得ないのである。

そして、この傾向は下位チームになると色濃くなり、「尖った選手」の絶対数が増えてくるが、そのほとんどがブラジル人だ。

その理由も単純。

「ブラジル国籍の選手が外国籍扱いにならない」という、このリーグ独自のルールが存在するからである。

つまり、中島のライバルは、ブラジル人を中心とした「尖った選手」であり、彼自身も「尖った選手」の枠としてカウントされることは間違いない。

とすれば、いかに「尖った選手」として、評価を受けられるかが論点になってくるわけだが、その観点でいくと、中島は脚光を集めるのではないかと見ている。

彼の個性は、Jリーグの舞台では“異質”に扱われることも多かったが、ポルトガルの舞台では遠慮なく発揮できる。

もちろん、ある程度はチーム戦術に左右される面があるが、「無駄な遠慮は不要」という姿勢を貫けば、評価は日に日に高まるはずだ。