「個の力」はどうやって組織を壊したのか?

両チーム選手交代なしでスタートした後半、バニーズの千本哲也監督は「相手が露骨にプレスしに前に出てきている状況は、逆にチャンスでは?」と送り出した。

そして、後半になってからは右サイドバックの草野詩帆が高い位置でボールを受け、グラウンダーのクロスやマイナス方向へのパスでチャンスメイク。前半からプレスに奔走したシーガルズの体力面の消耗も手伝い、バニーズが徐々に主導権を握るのか?とも思われた。

しかし、ここで“違い”を見せたのが、大滝だった。

59分、この日は右サイドバックに入っていたシーガルズの山本絵美からのフィードに反応。かなりアバウトな状況からのこぼれ球を、相手DFともつれながら自ら右足で押し込んだ。

「イメージ通りにはいかなくて、しかもコントロールが相手に当たって」という形でも決められる個の強さ。大滝の貴重な追加点で、シーガルズが0-2とリードを広げる。

その後は前がかりになるバニーズを後目に、シーガルズは前半同様に中盤でボールを奪ってからの速攻で決定機を量産。バニーズのGK後長美咲の好守でさらなる追加点とはならなかったが、終始思惑通りのゲームプランが奏功した。

一方、バニーズは71分にDF野間文美加を投入。急造3バックにしてビルドアップの安定とサイド攻撃を図ったが、不発。またもホーム初勝利はお預けとなった。