――日本から見ての「対セネガル」という観点でも、この問題点がキーになりそうですか?

日本が「セネガルが嫌がる展開に能動的に持っていく」という戦術を取るのであれば、間違いなく重要になる部分だと思います。

逆に自分たちがボールを大事にして、パスワークと連携で崩すことに傾倒してしまうと、セネガルの餌食になる可能性は高まるでしょう。

極端な話かもしれませんが、「好ましくない位置でボールを奪われるぐらいなら相手にボールを渡しても構わない」と思い切ったほうが賢明だと思います。

具体的な戦術的な観点で言うならば、セネガルのストロングポイントである両サイドに蓋をして、日本が敷く守備ブロックより前でボールを回させる展開に持ち込むイメージです。

例えば、ガーナ戦で試した3バックをここで用い、ウィングバックに「蓋」の役を任せるのも効果的だと考えています。サイドにおける質的な面での弱さを、位置的ないしは数的な優位性でカバーできるようになりますしね。

もちろん、アタッキングサードで前を向かせるケースを作らせないこと、サイドを簡単に破らせないことは前提にはなります。

ですが、この戦術に徹底したほうが、闇雲に攻め入ってカウンターを受けるよりも安全ではないかと見ています。

――それは、今大会でイランなどが見せた「完全リトリート」に近い形でしょうか?

スペイン戦におけるイランは極端過ぎましたし、あそこまで後ろが重たくなる状況はよろしくないです。

イランもあの戦術を選択したことにより苦戦していましたが、ボールを奪った後がしんどくなります。

日本もロングカウンターからゴールまで運ぶ力に優れていると思えないので、あくまでも「サイドに蓋をする」というイメージを持つだけであり、ペナルティエリア付近に「ベタ引き」する状況は避けるべきです。

それに、セネガルは、ボランチ(グエイ、アルフレッド・エンディアイ)に気の利いたパスが出せる選手がいないですし、ボールを受ける位置も的確ではありません。クリバリ、サネからの縦パスがずれることも度々あります。ボランチにアンカーを置くシステムもありますが、それを採用しても同様です。

そのため、日本としては、ただ下がるのではなく、この弱点を突ける体制を取ることも重要になります。

「サイドに蓋をしてボールをボランチまで下げさせ、そこで囲い込んで取る」というイメージでしょうか。

実際、ポーランド戦でもレヴァンドフスキがセネガルのアルフレッド・エンディアイのコントロールミスを突き、そのままボールを奪い攻め上がるシーンがありました。