熱戦が続くロシア・ワールドカップ。グループステージでは思わぬ波乱が起きるなど悲喜交交だった。

ここでは、各編集部員たちが心にグッときた代表チームたちを特集したい。

モロッコ代表(編集部K)

元清掃員というエルヴェ・ルナール監督のカッコよさよ!

というのはともかく、モロッコ代表チームが見せた「サッカー文化」が印象的だった。

このモロッコ代表は、ほとんどのメンバーがベルギー、オランダ、フランスなど欧州生まれ。国内で育った選手は数名だけだ。監督もフランス人のルナールである。

しかし、彼らがやっているサッカーはまさに「ザ・モロッコ」なのである。ここしばらくはずっとこのスタイルだ。

強引な突破を得意とするウイング。溢れる闘争心。情熱的な個々人のプレッシャー。わずかでもチャンスがあるならば立ち向かい、挑んでいく。たとえ雑になろうとも、リスクがあろうともだ。

フランスやオランダのリーグでも、強引なウイングやテクニシャンが出てくるとだいたいチュニジア、モロッコ、アルジェリアのルーツを持っている選手だったりする。

それだけ、人間における「ルーツ」というのは大きなものなのだろう。育った家庭から受け継ぐメンタリティもだ。もしかしたら、海外育ちの日本人2世を集めても俗に言う「日本らしいサッカー」になってしまうのかもしれない。

穴があるからと言って今あるものを否定して、海外最先端の戦術を植え付けることがいいのか?

あるいは、時間がかかっても今持っているものをベースとした独自のサッカーを作り出したほうがいいのか?

モロッコのサッカーを見て、筆者は日本のサッカーの未来を考えさせられている。