Qolyも推した「ベトナムのメッシ」

手前味噌にはなるがQolyでは2014年から彼を取り上げており、少なからずこの「ベトナムのメッシ」という呼称の浸透に一役を買ったという自負がある。

もちろん何の理由もなく推していたわけではない。きっかけになったのは、2014年のAFC U-19選手権であった。

南野拓実を擁する日本はグループステージ第2節でベトナムと対戦したが、“黄金世代”と呼ばれた彼らの高い個人能力に苦しめられる。先制したものの試合終了直前に追い付かれ、後半アディショナルタイムの2発でかろうじて勝利を収めた。

そんな試合において、南野以上に、もしかするとピッチ上で誰よりも輝きを放っていたのが負けた側のグエン・コン・フォンだったのである。

当時の彼はまだプロデビュー前だった。しかしU-19代表とクラブの下部でエースを務めており、「将来を約束された選手」として既に国内で高い人気を誇っていた。

その前評判通り、その卓越したドリブル技術、個人技は非常に鮮烈で、この時の活躍はQolyが『ベトナムフットボールダイジェスト』の協力で彼の記事を取り上げる大きなきっかけとなったのである。

その後2015年にトップ昇格しプロデビューすると、同年にはA代表デビュー。2016年にはJ2・水戸ホーリーホックと期限付きでの契約を結び、同国の英雄レ・コン・ビン(元札幌)に次ぐ史上二人目のベトナム人Jリーガーとなった。

残念ながら加入前のケガもあって5試合の出場に留まり、1年で国内へ復帰する。それでも復帰後にはクラブはもちろんU-23代表、A代表の絶対的エースとして、近年のベトナムサッカー界の快進撃を先頭から牽引している。