イタリアに敗れてEURO2020で準優勝に終わったイングランド代表。
PK戦で失敗した3選手に対する人種差別的な投稿が問題になっている。そうしたなか、PKを失敗したひとりであるマーカス・ラッシュフォードはSNS上で長文のメッセージを出した。
マーカス・ラッシュフォード(イングランド代表FW)
「どこから手をつけたらいいのか分からない。今の気持ちをどう言葉にすればいいのかも分からない。
自分は難しいシーズンを過ごしてきた、それは誰の目にも明らかで、僕は自信を失った状態で決勝に臨んだのかもしれない。
いつもPKでは自分を鼓舞してきたけれど、うまくいかなかった。結果は自分が望んでいたものではなかった。
チームメイトたち、みんなのことを失望させたような気がした。
(PK戦直前の投入だったので)チームに貢献するために自分が求められたのはPKだけだった。
僕は寝ながらでもPKを決めることができるのに、なぜあの一本はできなかったのか。
ボールを蹴ってから、頭のなかで何度も何度も再生されているけれど、この気持ちをうまく言葉で言い表すことはできないかもしれない。
決勝戦、55年ぶり、一度のPK。歴史。申し訳ないとしか言えない。違う結果になっていればよかった。
僕は自分のことについて書かれるであろうスポーツのなかで育ってきた。肌の色、出自、ピッチ外での過ごし方。
自分のパフォーマンスに対する批判はいくらでも受ける、あのPKは十分なものではなかったし、入れるべきだった。
でも、僕が何者であるか、どこの出身なのかについては絶対に謝らない。
胸にスリーライオンズ(代表エンブレム)を着けて、何万人もの観衆のなかで家族が応援する姿を見るほど誇らしいことはない。そういう日を夢見ていた。
今日受け取ったメッセージには圧倒されたし、ウィジントンでの反応には涙が出そうになった。
いつも自分を包み込んでくれるコミュニティが僕のことを支え続けてくれている。
僕はマーカス・ラッシュフォード、23歳の黒人男性、南マンチェスターのウィジントンとウィゼンショーの出身だ。
心優しいメッセージをありがとう。僕と僕らはより強くなって戻ってくる」
PK失敗については申し訳ないと謝罪しつつ、自分に対する差別には絶対に屈しないと宣言。
出身地ウィジントンにはラッシュフォードを讃える壁画が描かれていたが、PK失敗後に彼を侮辱する落書きでそれが汚された。
【動画】ラッシュフォードが泣きそうになった…汚された壁画への感動メッセージ
その後、その侮辱的な落書きは黒いシートで覆われ、その上からポジティブな応援メッセージが書き加えられている。ラッシュフォードはそれを見て感動したようだ。