好調なチームのコンセプトとキーマンは?
冒頭でも触れた通り、現在の山形はJ2でもっとも乗っているチームであると言っても過言ではない。好調なチームのコンセプトは何だろうか。そして、キーマンは誰だろうか。
攻撃時のコンセプトは、最終ラインからのビルドアップを基調としたポゼッションスタイルだ。ゴールキーパーとセンターバック、ダブルボランチの5人でボールを回し、選手間の距離を縮めた円滑なパスワークから中央突破またはサイドアタックで崩していく。
一方の守備面では、前線からのプレッシングとコンパクトな守備ブロックの構築が基本形。リーグ戦26試合で23失点はリーグ2位タイの好成績で、7月度の「月間最優秀監督賞」を受賞したクラモフスキー監督の巧みな手腕が光る。
選手に目を移すと、トップ下で攻撃を司る山田康太がキーマンとなっている。横浜F・マリノスの下部組織出身で、かねてより将来を嘱望されてきた技巧派は、新天地で持ち前のテクニックを存分に発揮。スルーパスからのチャンスメイクで攻撃を牽引中だ。
そして、右サイドでコンビを組む2人にも注目だ。右サイドハーフの中原は、積極的な仕掛けでサイドアタックの要に。7月度は2ゴール2アシストの大活躍を披露し、「月間MVP」にも輝いた。
レフティー、そして切れ味鋭いドリブル突破という特長はクラブOBの坂元達裕(現:セレッソ大阪)にも重なる。日本代表まで上り詰めた先達のような成長曲線を描けるだろうか。
そして、右サイドバックの半田は地元出身の有望株だ。ここまでリーグ戦23試合に出場している背番号31は、試合を重ねるごとに成長中。オーバーラップでサイドアタックに厚みをもたらすのはもちろん、時にボランチ付近でプレーしてビルドアップに参加するなど、偽サイドバック的な働きも見逃せない。U-20日本代表候補が参加するトレーニングキャンプ(期間:8月30日~9月5日)のメンバーにも選出されており、今後の飛躍に期待が膨らむ。