攻撃戦術を支える朴一圭の存在感

新布陣[2-5-4]が1人多く見えるのはGK朴一圭(パク・イルギュ)という「11人目のフィールドプレーヤー」がいるからだ。

彼は、御存知のように2019年には横浜FマリノスでJ1リーグ優勝へ導いた守護神だ。

2020シーズンの終盤から鳥栖へ加入した朴は昨季J1全38試合にフルタイム出場し、1試合1失点以下となる35失点(リーグ3位)。今季も完勝した札幌戦までの7試合で2失点。本業でもスーパーセーブ連発の守護聖人ぶりを披露している。

そんな朴の真骨頂は、マイボール時の攻撃の組み立てに大きく関与できる点だ。足下の技術はもちろん、何よりも試合展開の機微を読みとる術に長ける。

鳥栖は自陣から攻撃を組み立てる際に相手が前線からプレスを仕掛けてきても、味方から確実にパスを受けて攻撃の起点となれるポジションをとれる彼の存在により、「+1」の数的優位が確保できる。

また、守備時は相手がスルーパスやロングボールを鳥栖の高いDFラインの背後に供給して来ても先読みし、ピンチを未然に防いでしまう。現在の鳥栖にはそんな朴のストロングポイントを発揮できるようにチーム戦術が練り込まれており、それは昨年から見てとれた。

今季は第2GKに岡本昌弘という足下の技術では朴に劣らないリベロ型GKを獲得しているのだから、「GKがフィールド選手と同じようにプレーする」のは、クラブに明確なゲームモデルが根付いている証左だろう。