国際舞台はプロになるまで無縁
一方で松尾は世代別代表や全日本大学選抜とは無縁の存在だった。ユース時代は控えに回る日々が続き、埼玉県リーグでのプレーを強いられた時期が多かった。過去の取材で「俺たちは谷間の世代でした」と振り返るも、自身は谷底でもがき苦しんでいた。そのため世代別代表にかすりもしなかった。
大学進学後も状況は変わらなかった。全日本大学選抜の練習会に参加するも、選考から漏れに。同じ東京世代だった同期たちはユニバーシアードサッカー日本代表に選出され、2019年ナポリ大会を制覇。
大学の同世代より一足先にJリーグの舞台で輝きを放ってはいたものの、国際大会は経験していなかった。
そのため、アジアの祭典は未知の領域だった。欧州志向が強い松尾にとって、この舞台での活躍がキャリアのターニングポイントと設定するほど静かに闘志を燃やしていた。
4月中旬から浦和が入ったACLグループリーグFがタイのブリーラム・シティ・スタジアムで集中開催された。松尾はこのグループリーグで5得点1アシストと爆発するも、韓国の大邱FCには不発。チームは2位でグループリーグ突破を決めた。
チームはその後順調に勝ち進んでいった。ラウンド16ではマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムFCに5-0で快勝し、続く準々決勝ではBGパトゥム・ユナイテッドFCを4-0で一蹴。準決勝の相手はアジア制覇2度の強豪である韓国の全北現代モータースと対戦が決定した。